今月5日に、池袋にちょっと変わったホステルがオープンしました。ホステルの名前は『BOOK AND BED TOKYO(以下、BOOK AND BED)』、コンセプトは "泊まれる本屋" 。そこでは最高の「寝る瞬間」の体験が出来るのだと言います。

この『BOOK AND BED』を手掛け運営するのは、おしゃれで個性的な不動産をセレクトして紹介するウェブサイトで知られる株式会社アールストア。今回、広報担当の力丸さんにご案内いただき、お話をうかがいました。

取材当日、いただいた案内の所在地を目指してたどり着いた先は、JR池袋駅から徒歩1分という立地にある、普段よく目にする雑居ビル。通りに向けられた看板には、ずらりと飲食店の名前が並び、こんなところにホステルがあるのかと訝しく思いながらエレベーターに乗り込んで、待つこと数十秒。扉が開いたその先に現れた景色に、はっと息をのみました。

左・雑居ビルのエレベーターを降りて、こんな景色が待っているとは!! 奥に見えるのはフロントです。右手のドアを開けると・・・/右・地下の秘密基地のような雰囲気の空間が待っていました。

コンクリート打ちっぱなしの天井に、モルタル仕上げの壁と床。木の本棚とのコントラストがかっこいい。内装を手掛けたのは「SUPPOSE DESIGN OFFICE」。

寝る瞬間の幸せを提供する
『BOOK AND BED TOKYO』

地下の秘密基地に迷い込んだような感覚を覚える、ほの暗くひっそりと落ち着いた空間には、大型の本棚が設けられ、さまざまな本や雑誌、漫画がゆったりと並んでいます。この『BOOK AND BED』とは、一体どんな施設なのでしょう?

BOOK AND BEDは、安価で泊まれるホステル、簡易宿泊所です。他のホステルと違うのは、ただ寝るだけではない、寝る瞬間の幸せについて考えた、読書をテーマにした宿泊所だということです。

ーそのテーマに行き着いたきっかけは何だったのでしょう?

ある時、義妹の結婚式で沖縄の5ツ星ホテルに泊まったんですが、部屋はすごく広くて、のびたが寝転がったら一秒で夢の中みたいな、すごいふかふかなベッドも用意されていて。でも、ぼくはそこに行ったとき、ホテルにあるバーで寝たいと思ったんです。夜みんなで集まって話をして、お酒も美味しくて楽しくて・・・、うとうとしながらもうここで寝たいなと。それがきっかけで、寝る幸せって、寝る瞬間にあるんじゃないか気付きました。

最初はぼくの体験から、バーの構想があって、飲みながら寝たい! 寝れるバー、眠れるバー、バーいいよね!ってなってたんですけど(笑)、話し合いの途中で、その空間が酔っぱらいばっかりになったら大変だねってことになり、廻り回って最終的に読書かな、と。

ぼくは実用書以外は、1年に1,2冊くらいしか読まないけど、眠いながらも好きな本を読みながら、眠りに落ちるって幸せだなって思ったんで、それをテーマにしました。

確かに、もう眠いんだけどこの本の結末を早く知りたくて、でも、瞼が落ちてきて・・・。という体験、あります! 翌日どこまで読んだか曖昧だったりするのですが、本のストーリーに迷い込んでしまうように眠りに落ちる瞬間って、妙な心地よさがありますよね。

寝る瞬間を最高にしてくれる本は全部で1700冊。ブックセレクトは「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」によるもの。普段全然本を読まないという人でも、手に取りやすいタイトルやビジュアルのものも揃えられていました。

本を抱えて自分だけの世界へ

BOOK AND BEDは、宿泊とデイユースの2パターンで利用ができます。宿泊にて利用できるベッドスペースは、棚の裏側に設けられた「BOOK SHELF」とカプセルタイプの「BUNK」の2エリア。それぞれのエリアに「STANDARD(129cm×205cm)」と「COMPACT(80cm×205cm)」の2サイズのベッドが用意されています。

ぼくはBUNKがおすすめです。BOOK SHELFの方が目立つと思うんですけど、断然BUNKの下段派です! 自分の空間を持つ、集中できる全面囲われている感じがいいですよ!

ぜひ寝てみてください! とのお言葉をいただき、実際にどちらのエリアのベッドにも横になってみたのですが、これが何と表現をしたらよいか迷うほど、とっても落ち着きました。著者は幼少期、頻繁に押し入れで遊んでいたのですが、それとはまた違った "わたしだけの居場所" といった感じ。

きっと、わたしをはじめ、この写真を見た方も、実際に現地を訪れた方も見ただけでは「狭いんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、そんな疑念はすぐにどこかへ。"籠り感" ってこのことを言うのかー!と改めて気付いたような感覚でした。本と自分だけの密度の濃い時間を過ごせそうです。

「BOOK SHELF」エリア。ベッドスペースは本棚の裏。上の段には梯子を使って、下の段は屈むようにして、本棚の間にある開口から潜り込みます。面白い! 開口部はカーテンで閉じられるので、本を探している人と目が合って気まずいなんてことはありません。

左・「BUNK」エリアにはオリジナルのベッドがずらりと並んでいます。/右・COMPACTの内部はこんな感じ。完全なプライベートスペース! 余裕をもってスペースを使いたい方や、荷物をたくさんベッドに持ち込みたいという方は、STANDARDタイプを選ぶといいかもしれません。

デイタイム利用は13:00〜19:00まで。ラウンジのソファスペースを使用できます。wi-fiも備えられているので仕事を片付けたら本を読もう! なんて時にもいいですね。

居心地がよすぎて、気付いたらうたた寝してた!! なんて昼寝体験もきっと幸せなんだろうな・・・。常識の範囲内であればソファで寝てもいいそうですよ。カフェとも違ったサードプレイスとして、利用するものいいかも。

ソファは奥行きも深く広々としていて、ゆったりとくつろげます。池袋を見下ろせる隅っこのスペースは特等席!

泊まれる本屋で迎える
東京感を味わう朝。

このホステルで目指したものは、いわゆる "日本の和" ではない今の日本人が面白いと思う空間。それを一緒に面白いと感じてくれる方たちにぜひ訪れて欲しいのだと言います。

国内外の旅行客が宿泊をするということを考えたときに、この池袋という場所は日光東照宮や栃木の名所、成田・羽田空港へのアクセスがいいのも魅力です。泊まって朝を迎えて、ビル群の一画にある雑居ビルから出ていく感じとかがまた面白いと思いますよ。東京感があって。(笑)

本とじっくり向き合い、迎えた朝はちゃんと身支度を整えて街へ繰り出したいものですよね。サニタリースペースはラフな造作が魅力的。

洗面台の後ろにはシャワールームが3室。

気になった本を抱えてベッドに潜り込み、好きなだけ読みふける・・・。気付けば寝てしまっていた! という幸せな「寝る瞬間」を提供するBOOK AND BEDには、本を読みたいひと、本でつながりを求めたいひとをカジュアルに迎え入れる居心地のよさがありました。

旅行中の利用と言わず、日常の中でちょっと特別な時間を過ごしたいという方に、ぜひおすすめしたい場所です。

最高の瞬間を体感してください!

最後に、株式会社アールストアの広報担当、力丸 聡さん。手に持っているのは力丸さんおすすめの本、平松洋子著「ステーキは下町で」。夜中に読むのは辛いほどの "よだれもの" なのだそう。

取材協力:BOOK AND BED TOKYO

東京都豊島区西池袋1-17-7 ルミエールビル7階
HP:http://bookandbedtokyo.com/
※宿泊、デイタイム利用の詳細についてはHPをご確認ください。
facebook:https://www.facebook.com/bookandbedtokyo
instagram:https://instagram.com/bookandbedtokyo/

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