長く人生をともにするペットと一緒に心地よく暮らすためには、ペットグッズにもこだわりたいもの。

好きな家具や雑貨を揃えたお気に入りの住まいであればなおさら、“人間のためのもの" と “ペットのためのもの" の調和を考えますよね。

今回は、犬や猫と暮らす人のライフスタイルショップ「we」を運営する株式会社we 代表の森浩治さんを訪ねました。

自分が欲しいと思えるいいものしか作らない、ライフスタイルショップ。

株式会社we 代表の森 浩治さん。宮大工の経験を経て建築士として独立、住宅設計や家具デザイン、ウェブデザイン、プロダクトデザインディレクションなど生活に関わるトータルデザインを手掛ける他、ペットプロダクトの開発も行っている。建築家であり愛犬家。ご自宅では犬を2匹、猫を1匹飼っている。

建築パーツや、雑貨、服飾などの代理店業をメインに、主にオンラインショップや卸店舗で販売展開されている「we」では、犬小屋などのインテリアグッズや雑貨・家具、手作りごはん食材、おやつなどの販売を行っています。

特筆すべきは、“犬や猫と暮らす人のライフスタイルショップ" の言葉通り “犬・猫だけ" のためではない、一緒に暮らす “人" のことも考えられた商品展開を行っているということ。森さんが開発されたオリジナル商品のほかに、海外ブランドからのセレクト商品も扱われていますが、すべてが使用される背景についてまで考えられているような印象を受けます。

犬や猫と暮らす人のライフスタイルショップ「we」ウェブサイトのトップページ。さまざまなアイテム、コンテンツが並んでいます。

ー森さんがペットのためのグッズを作り始めたきっかけについて教えてください。

もともとは大工をしていて、株式会社weとして起業してからも住宅や家具をつくっていました。それがある時、腰を痛めてしまい現場に出ることが大変になっ て、本格的に家具や雑貨の販売を始めようと思い色々とリサーチをしたんです。家具屋さんはたくさんあるし何か特色が必要だと思いました。

最近ではいいものが出てきていますが、10年くらい前にホームセンターとかに並んでいたペットグッズはインテリアになじまないものばかりで、自分たちが生活している空間に合うものがありませんでした。

そこで、その時に飼ってた犬のために犬小屋やフードボウルを作ったのがきっかけです。

それからは、自分が欲しいと思ったものを作る事が、ほかの犬を飼っている人にも需要がある事だと判り、現在のスタイルに至ります。

当時森さんが作っていた犬小屋と、タイル張りのフードボウル。ネットショップに載せたら多数の注文が入ったと言います。

こういった製品を求められる方はインテリアにとても感心が高くて、ある程度高額になってしまってもいいから、いいものが欲しいという方が多い。そのため、 オリジナルの商品を作るときは、自分で欲しいと思うものしか作らないようにしています。ここにニーズがあるからこの商品を売ったらこれだけ販売数が見込めるだろう、という方法は取りません。やろうと思えばできるんでしょうけど、そうすると自分がやりたいことの軸がずれてきてしまうように思うんです。使用する素材も、値が張るけどいいと思う素材と、安いけどワンランク下の素材なら、多少高くても「本当にいい素材」を提案するようにしています。

犬・猫の食生活についての知識と情報を含めた、手づくりごはんの提案

インテリアグッズや雑貨・家具のほかにも、みなれたタイプのドッグフードや手づくりごはんを後押ししてくれる、生肉や野菜などの食材が充実しているweですが、犬のための手づくりごはんはどのようなことに気を付けるといいのでしょう?

ひと昔前、人間の食べた残飯を犬にあげてた時代ってあったじゃないですか。あの時、人は犬が何を食べられて食べられないかという知識がなかったから、そうしていました。これからは、飼い主が自分たちのご飯を作るときに食材を犬に分けてあげて、これとこれを組み合わせたらタンパク質の量が足りるからドッグフードとして与えられる、ということが分かる知識を身に付けてもらえたらと思っています。

基本的にはタンパク質が6割、野菜2割、穀類2割が好ましい割合です。人間の食事だと、例えば牛丼のようなどんぶりものだとご飯が多くてタンパク質は2割くらいですよね。犬の場合はそれが逆で、タンパク質の方が多くなるように設計しないといけない。

野菜を手軽に与えるためにベジミストのような商品も販売していますが、野菜のへたの部分とかお刺身のつまを細かくしてあげるだけでもいいんです。細かくするのは、人間に比べて腸が短く消化能力が低い犬も、栄養素を吸収できるようにするためです。

ーなるほど。それで販売されているお肉もミンチやダイス状に加工されているんですね。

馬肉や鹿肉、ラム肉や鶏肉といった高タンパクで低脂肪の生肉も冷凍して販売しています。

ーそして、ネットショップ内の「食事のコンテンツ」にも、手づくりごはんのアイデアや犬・猫の食生活についての知識が満載ですね。

「わんちゃんなのにこんな食材をあげるなんて立派ね」っておっしゃる方もいるんですが、そうではなくて、自分たちも口にしている食材のなかから、犬や猫が食べてはいけない食材や、逆に積極的に与えたい食材を知ること。そして、その食材をどのような基準で、どのような割合であげたらいいかなど、犬や猫の生体を知り、人間とは異なる食事についての基礎的な知識をこのサイトで学んで頂けたらいいなと思っています。

以前うちの犬が尿結石になってしまって、食事である程度改善しようと試行錯誤して、お医者さんから聞いたり自分の経験から最終的には水分をたくさん取らせて治すことができました。そういった内容をひとつのコンテンツとして掲載すれば、同じように悩んでいるひとが参考にしたりできますよね。

商品を並べて、はいどうぞ。うちのお店おしゃれでしょ。とはしたくなかったんです。売っているものは手前味噌ですけど(笑)いいものを扱っていると思うんです。でもそれだけじゃなくて、生活全般の知識とか情報も含めた上で、犬と猫とともにある暮らしを提案したいと思っています。

私たちが口にしているものも食材によっては、カットする大きさと調理法に気を付ければ、犬・猫に食べさせることができるんです。

weおすすめのペットグッズラインナップ

それではここで、weとっておきの商品をご紹介していきましょう。

・オーダーメイドケージ

とにかくかっこいい、細部の造りにまでこだわりが感じられるweオリジナルのオーダーメイドケージ。大きくは、standard type(写真左)とboard type(写真右)の2タイプがあり、サイズや木材、カラーなどを細かくオーダーすることができます。ご希望の仕様で注文を受けてから制作が始まるため、最短でも納品までには2〜3ヶ月は掛かるそう。ステンレスと無垢の木で造られるこのケージ、本物志向のインテリアを好まれる方はきっとグッとくるはず。

・「URBAN PAW」2in1 House Milo (Mineral)

株式会社weが日本総代理店をつとめるカルフォルニアのリビングブランド「URBAN PAW」のクッション素材のかまくら型ペットハウス。クッションを外して屋根を内側に折り込むとカドラーとしても使用できます。冬の寒い時期にはハウスとして、暖かい時期にはベッドとして。あるいは飼っている犬・猫の好みによっても使い分けができて便利。落ち着いた色合いと柔らかな質感で、どんなお部屋にもマッチし ます。

・CHUPS & STELLAのドライフード

株式会社weとダブルポーション有限会社によって共同開発されたドッグフードブランド「CHUPS & STELLA」。酸化防止剤や添加物をまったく使用せず、熱処理したお肉や野菜を抽出して固形にしているだけのドライフードは、タンパク質が20%含まれておりこれだけを与えつづけたとしても、犬が病気になったりすることはなく、健全な身体をつくれるよう設計されています。生のお肉やスープを加えてあげれば水分も酵素も摂れて、よりバランスのよいごはんに。

・CHUPS & STELLAのフレッシュミート

ドライフードにトッピングすることで、生ものから摂取する酵素が身体を健全化します。美しい毛艶や毛並みと、しなやかなカラダ作りに欠かせない、良質なタンパク質や、脂質などの栄養成分がとっても豊富に含まれています。ミンチ状なので調理も簡単。生肉を与えるのが心配な場合は、レンジで加熱して火を通しても◎。

動物と人間の関係を深めて、本物のつながりを。

ー最後に、森さんの考えるペットとの暮らしついてお聞きしたいのですが、森さんが犬や猫を飼い始められたきっかけって何かありましたか。

両親とにも犬・猫が好きで幼少期から犬を飼っていて、生活に犬や猫がいることが当たり前でした。飼っていない期間の方が短いくらい。だから、飼うきっかけというのはないほど、パートナーというか家族でした。

ペットを飼う上で大切にしているのは生態を知ること。動物を擬人化せず、動物は動物、人間は人間という立ち位置で考えています。犬や猫って洋服を着せたり、擬人化してしまいがちなんですよね。でもちゃんと生態を知って動物であることを尊重することで、本物のつながりを持てるのではないかと。表面を見るのではなくて、深いところで動物と人間の関係を築けたらなと思っています。

ーありがとうございました。森さんの方から何か今後の展開やニュースがあればお聞かせください。

動物を保護して里親の斡旋をする活動を昔から行っている「ANIMAL REFUGE KANSAI(以下、ARK) 」という私設団体があります。代表はエリザベス・オリバーさんというイギリス人で、1990年に設立されました。

動物を一時的に保護して次の人生を歩ませるまでの一時的なシェルターなんですけど、動物のための施設を一般の方からの寄付や会費によって運営しています。

もちろん、日本でこうした活動をしているのは、彼らだけではなく様々な形態の団体があります。

しかし、日本では寄付というと成功者がするものというイメージでなかなか一般化しにくいですが、ARKは企業や一般の方からの寄付が無理強いせず自然と集まる仕組みができつつあり、今後のこのような組織が歩むロールモデルになる可能性があります。

ですから私たちは、活動に賛同できる組織への、物資支援、施設建設に関わる有志に力を入れていきたいと思っています。

取材協力:株式会社we
「we」ウェブサイト:http://www.we-original.com/