気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の暮らしぶりを「街の先輩」に聞いてみました!「街の先輩に聞く!」、 第12弾は「白金台」です。


ここは白金台、利便性に恵まれながら、豊かな自然と歴史が息づき、都会の洗練と格別の教育環境が整う高級住宅地。かつて、シロガネーゼなる言葉を生んだこの場所で、白金(プラチナ)のように眩い暮らしを夢見る女性は、今も昔も少なくはないでしょう。

プラチナ通りとは、白金台交差点からイチョウ並木が続く外苑西通りのこと。

朝8時、プラチナ通りのショーウィンドウ に映るのは犬を連れ、颯爽と歩く女性。彼女は、港白金台郵便局に書類を預けると、プラチナドンキを通り過ぎ、足取り軽やかに路地を進み、犬を抱えてゆったりと席に着きました。その場所は、早朝から3時間だけ開くカフェ「SHIROKANE LOUNGE」でした。

白金台駅から徒歩4分、プラチナ通りに続く路地にあるSHIROKANE LOUNGE 。

■朝日を浴びながら「今」を見つめる3時間

この日カフェを訪れたのは、コンサルティング会社を経営する40代のKさん。自宅サロンで人材育成のセミナーを開くコンサルタントでありながら、旅と犬が大好きで、保護犬活動に寄付する目的で、ニューヨークで買い付けたドッグウェアを販売するサイドビジネスも立ち上げたとか。エネルギッシュに日々を過ごす白金の女性は、朝のカフェでどんな時間を過ごしているのでしょうか。

“家が近所で、主人が早朝のランニング中に見つけてお店を知りました” と、Kさん。

毎日やることがたくさんあるので、あえて「今」を見つめる時間をとっていました。今を幸せに感じ、今を楽しくし、今を感じることが望む未来を手に入れ、到達する方法かなと思っていて・・・。

時間とお金を持て余す「有閑マダム」とは異なり、キャリアを積んで活躍しながらもゆとりある生活を送る様子は、現代の女性が憧れるライフスタイル、シロガネーゼというよりも、まさにプラチナウーマン。

朝ゆっくりする時間って、やっぱり、貴重ですよね。この後は、ピラティスに行きます。

と、カフェでゆったりと朝日を浴びた後、席を立ちました。

■「貴重な朝の3時間」しか営業しないカフェ

カフェ「SHIROKANE LOUNGE」の営業時間は、朝6:30から9:30までの、たった3時間。なぜ、早朝の3時間だけ営業するのでしょうか。オーナーの山本祐次さんはこう語ります。

朝の時間って、結構、貴重じゃないですか? けれど、この辺は土地柄、出勤前や散歩の途中に立ち寄る場所がなかったんです。だから、朝はゆっくり過ごしたいと思う人のために、地域貢献的な気持ちでカフェをやることにしたんです。

“何か新しいこと、楽しいことをやりたいな〜と思っていて。それで、誰かがちょっとでも喜んでくれるなら嬉しい” と語る山本さん。カフェで本を読むのが昔から好きだったそうで、時間がある日はお店を閉めた後、別のカフェで一息するとか。

プラチナ通りから1分の距離にありながら、コーヒーか紅茶、そして焼きたてのパンケーキが付くモーニングセットがなんと、ワンコイン(税込500円)。「朝、一番に口にするものですから」と、コーヒーは猿田彦コーヒーのオーナーに直接依頼したオリジナルブレンド、パンケーキは牛乳の代わりに豆乳を使用して甘さ控えめ、とシンプルながら、こだわっています。

左:モーニングセットは、紅茶かコーヒー、そしてパンケーキがついてワンコイン(500円)。/右:絵本「しろくまちゃんのほっとけーき」は、お客さんが持ってきてくれたもの。その後、この本の出版社の人がやって来て、新たな繋がりができたというエピソードも。

カフェからほど近い、白金台どんぐり児童遊園では月曜から土曜、毎朝6:30にラジオ体操が行われ、寒い季節でも常に20人程が集まるのだそう。子供達が加わる夏休みには、参加者が200人近くなることもあるのだとか。日本屈指の夜遊びタウン六本木や恵比寿に隣接していながら、この街の人々には朝日を浴びる習慣があるようです。

朝10:00過ぎ子供達が走り回る、港区最大の児童遊園「白金台どんぐり児童遊園」。

■「カフェでお金儲けは考えていないです」
ただ、人が集い、憩い、繋がる、そんな場所をつくりたかった

カフェを訪れるのは、圧倒的に近隣に住む女性が多いそうです。また、ビジネスマンや、大学の先生などが読み物をしながら朝食を摂り出勤する光景も見られます。週末は、お散歩がてらのファミリー層で賑わうのだそう。そして、もうひとつ特徴的な客層はワンちゃんたちです。

ここでの繋がりから救われる犬たちが増えるようにと「保護犬の里親会」に定期的に会場提供しているのだそう。

カフェでお金儲けは考えていないです。ただ、朝の時間を気持ちよくみなさんに使って頂けたら。それで、お客さん同士がここで知り合いになったり、ワンちゃんたちが交流したり、そういう場面を見るのが嬉しくて。

こちら、カフェ時間以外はレンタルスペース。場所柄、テレビや雑誌の撮影、企業のミーティング、趣味のグループのスタジオとしてニーズは高く、カフェとの採算をとっているのだそうです。

アンティーク家具やモニターなどの機材も貸し出し可。

この辺も10:00くらいになると、ちょっとお茶できるところが開いてくるので・・・他のお店に任せて、自分の仕事をしようかなと思ったんです。人に「普段、なにをやってるんですか?」と聞かれれば「33歳、カフェ店員です。」と答えています(笑)。

■2020年を意識しない街、白金台。この街の “今” を伝えるものとは・・・?

山本さんは、白金台を落ち着いていてゆとりのある「由緒正しき街」だと言います。

散歩をすれば、八芳園、国立自然教育園、明治学院大学に三光坂・・・と江戸情緒と明治時代の華やぎの名残りがそこかしこに・・・。ドラマチックな日本の歴史と変遷を見届けてきた白金台にとって、2015年、総合ディスカウントストア、プラチナドン・キホーテの出現も、2020年に控えた東京オリンピックも、ささやかな変容なのかもしれません。

プラチナドン・キホーテ白金台店。外装やレジ袋は、白とプラチナカラーで統一され、他店とは一線を画す「激安の殿堂」。

ちょっと行けば活気のある都心なんだけど、落ち着いていて、ゆったりできて朝が気持ちいいところだと思いますよ。きっと、何年経っても同じだと思います、白金台は。

時刻は9:20。プラチナ通りのお店が開店準備を進める頃、SHIROKANE LOUNGEは本日の営業を終了しました。

SHIROKANE LOUNGE>CAFE & STUDIO

住所:東京都港区白金台5-13-26 1F
営業時間:6:30am - 9:30am  everyday
ウェブサイト:http://www.shirokanelounge.com/

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