鳥のさえずりで目覚めたら、木漏れ日がゆれるバルコニーで朝食。大きな掃き出し窓を開け放てば、室内を心地よい風が吹き抜ける。
夜は美しくライトアップされた緑を眺めつつ、グラスを傾ける・・・。
自然を存分に愛でることができるこんな暮らしが、南青山にあると聞いたら、信じられるでしょうか?
買うなら都心の中古、という選択に迷いはなかった
Tさんご夫妻が暮らすのは、表参道駅から徒歩約14分、港区南青山に建つ築37年のマンション。家探しをはじめてほどなくcowcamoで見つけ、すぐに問い合わせしたといいます。
結婚してから恵比寿の約30㎡の賃貸マンションで暮らしていたんですが、今年の3月に妻の妊娠がわかり、家の購入を決めました。
はじめは中古物件を購入して全面リノベーションしようと考え、リノベーション専門の設計会社を何社かまわっていたんですが、紹介される物件の場所や周辺の環境がいまいちピンとこなくて。僕は会社が渋谷にあるんですが、通勤電車がとても苦手なので、なるべく職場の近くに住みたかったんです。
さらにいろいろ調べてみると、港区は子育てのサポートがかなり手厚いことがわかったんですね。待機児童の数が少なかったり、保育所を増やす取り組みをしていたり、子育てに関する手当が充実していたり。とは言え、なにしろ港区なので、相場はかなり高め。半分諦めかけていたところに、ここの物件が載っているのを見つけました。(ご主人)
cowcamoに掲載されていた、緑いっぱいのバルコニーと、威厳あふれる共用ロビーの写真を見つけ、かなり好印象を持ったというおふたり。
内見では住戸そのものだけでなく、マンション全体を冷静にチェックし、求めていた理想の住まいであると確信したのだそう。
リビングからバルコニーを見渡した写真がとても印象的で、まずはそこに惹かれました。また、中古のマンションを購入する場合、管理状態がよいかどうか、ということは気になるところだと思うんですが、その点、サイトに掲載されていたロビーの写真で、グレードの高さや管理のよさがわかったので、ちゃんとしたところだなと。
その時に住んでいた賃貸マンションが、築30年以上のマンションをリノベーションしたものだったんですが、メンテナンスが行き届いていて、とても快適だったんです。時間が経ってもきちんとメンテナンスされているマンションのほうが、むしろ新築のマンションより心地よく暮らせるんだ、という感覚は妻と一致していたので、築古物件に対する抵抗感はまったくなかったですね。(ご主人)
内見は、主人の仕事の都合がつかず、まず私が先にひとりで見に来ました。
家探しでいちばん重要なことって、物件全体が醸し出す「空気感」だと思うんですね。建物の玄関前の感じだとか、共用部分の使い方のモラルだとか。そういうところが事前にチェックできるのは、リノベ済み物件ならではのよさだと思うんです。新築だと、これからどんな住人がどんな暮らし方をするか、わからないわけですから。共用部を確認してみて、美意識の高い方が住んでいると確信しましたし、住戸そのものも、プライベート感があるのがとてもよかった、ということを主人に伝えて、同じ日の夜に主人が内見、翌日にふたりでまた見に来て、その足で申し込みに行きました(笑)。(奥さま)
ああー、わかります、わかります。
「あ、この家だ!」と確信するのって、間取りがどうとか、駅近だとか、物理的な条件よりも、もっと感覚的なものなんですよね。その物件全体が醸し出す、まさに"空気感"のようなものにピンとくるというか、ビビビとくるというか。
筆者も、このマンションのロビーや階段に敷き詰められたふっかふかのじゅうたんを踏みしめた瞬間に、「なんて手入れが行き届いているマンションなんだろう!」と衝撃を覚えましたもの!
晴れの日も、雨の日も。
毎日プライベートガーデン気分を満喫
室内ではどんなところが気に入られましたか?
やっぱりこの眺めですね。しょっちゅうバルコニーに出て食事してるんです。雨の日も、キャンプ気分でカレーを食べようとか(笑)。
正面を覆い尽くす緑は、マンションの敷地内の植栽と、お向かいのマンションの借景です。さらに、1階に住まわれている方が、お庭をとてもきれいに整備されているんですよ。立派な竹が生えていたり、つくばいがあったりするので、眺めさせてもらっています。
あとは無垢の床。幅広の木材は存在感があるし、裸足で歩くとすごく気持ちがいいんです。(奥さま)
僕も断然、この緑の眺めですね。もう、しょっちゅうバルコニーに出ているんです。外にもひと部屋ある感覚ですね(笑)。向かいのマンションとは窓が向かい合っていますが、緑によってプライバシーが守られているし、ほんとにプライベートガーデン感覚です。
バルコニーには今後、ウッドデッキを敷き詰める予定です。より部屋からの延長っぽくしたいですね。(ご主人)
こちらに越してこられてまだ1ヶ月ほどというご夫妻ですが、おふたりの言葉から、お住まいへの愛がひしひしと感じられます。
ここで改めて、お住まい全体をご案内いただきましょう。
バルコニーに面したリビングとダイニングは、引き戸で仕切られるようになっているんですね。
リビング側は、寝室として使っています。ソファに見えるのは、実は布団でして。(ご主人)
おお、これはナイスなアイディア!! まったくもってソファだとばかり思っていました。
背もたれの部分が掛け布団で、下が敷き布団になってます。普通に三つ折りにして、上に敷き布団を載せて、ファブリックを掛けてるだけなんですよ。2分もあればこの形に畳めます。しかもこのファブリック、カーテン用ですからね(笑)。こうすると夜は寝室、昼間は広いリビングとして使える。これは妻のアイディアなんですが。(ご主人)
以前、どこかでこんなふうにされているのを見たことがあって。独身時代に狭い部屋に住んでいたので、部屋を少しでも広く使うためにこの方法を使っていたんです。(奥さま)
たしかに、ベッドを置いてしまうと、お部屋はたちまち「寝室」となってしまいますが、この使い方なら、まるで1部屋増えた気分。なんともおトクな裏ワザです。
LDKから廊下を抜けた反対側にも洋室があります。
こちらは将来、子ども部屋として使う予定で、現在は未使用とのこと。
はじめはこちらを主寝室として使おうと思っていましたが、これから子どもが増えるわけだし、リビングを寝室として使うスタイルでいいんじゃないかなと。それに、ここは作り付けの収納があちこちにあるので、むしろ逆に空間が余っている感じですし(笑)。(ご主人)
とかく、都心のマンションは収納が狭いと言われがちですが、こんな都心のど真ん中に建つマンションで、収納スペースが余っているとは! なんともうらやましい限りです。
落ち着いた環境が、今のステージにちょうどいい
キッチンは、なんと4口もあるコンロに、おしゃれなグースネックの蛇口。
奥さまこだわりのキッチングッズが充実していて、ご主人も料理をよくするようになったそう。
前に住んでいたのが恵比寿の、かなりにぎやかな場所でした。飲食店が充実していたので、外食も多かったんですよね。でも、ここはとても落ち着いた場所なので、必然的に外食も少なくなった(笑)。共働きで子どもがいない間は、賑やかで便利な場所でよかったんですけど、ここは本当に落ち着いた住宅街なので、今のステージにちょうどいい場所だと感じています。
それと、妻が、道具やインテリアをとことん吟味して選ぶ人なので、キッチン用具もかなりこだわりのものが揃ってるんですね。そういう道具を使って料理すると、やっぱり味が全然違って面白いなあと思いますね(笑)。(ご主人)
吟味して作られた道具は、意匠も研ぎすまされていて、そのまま上質なインテリアのようにも見えます。
ふだん使いの道具は、こだわって選ぶと、暮らしそのものが丁寧になりますよね。
今回、とてもラッキーだと思ったのは、できあがった状態のものを、自分たちの目で実際に確認して、ああ、これいいね、と納得した上で購入できたということ。
最初は、リノベ前の物件を購入して、自分たちの好きなようにリノベする、という選択も考えていましたが、こんな住まいにしたい、という希望を的確に言葉にして、設計者にうまく伝えるということが果たしてできるだろうか、という不安もありました。
自分たちの暮らしにフィットするリノベ済み物件に出会えて、本当によかったと思ってます。賃貸ではなく、購入した住まいだから、自分たちの好きなように手を加えることもできます。今後、少しずつ手を加えていくのも楽しみですね。(奥さま)
住所こそ "ザ・都会のど真ん中" な感がありますが、Tさんご夫妻のお住まいは、緑の光景を存分に楽しみながら、肩肘張らず、ナチュラルに暮らす心地よさにあふれていました。
まもなくスタートする、家族3人の新たな暮らし。
どっしりとした威厳を放つこの古きよきマンションが、ご家族をあたたかく支えてくれそうです。
ーーーーー物件概要ーーーーー
〈所在地〉東京都 港区 南青山
〈居住者構成〉ご夫婦
〈面積〉64.01㎡
〈築年〉築37年
〈仲介〉cowcamo
取材・文:吉田タカコ/撮影:cowcamo