「ライフスタイルを買う家電店」をコンセプトに、2015年5月にオープンした二子玉川 蔦屋家電。もう行かれましたか?
蔦屋家電を訪れる人はみな、これまでの "家電店" に対して持っていた固定観念を根底から覆されるに違いありません。
1,2階併せて2000坪を超えるフロアに足を踏み入れると、そこにはふんだんに置かれたグリーンと、ゆったりとしたソファスペース。そのまわりを回遊するように、多彩なジャンルの雑誌や本が並び、家電商品は雑誌や本の内容とシンクロするように、さりげなくディスプレイされています。
贅沢なまでにゆとりがある空間は、居心地がよくて、何時間いても飽きないほど。
ちなみに1階はネットワーキング、写真、映像、音楽など、2階は食、美容、健康、住などをテーマにした商品が展開されています。家電や書籍のほかにも、文房具、CDやレコード、雑貨、玩具を扱っており、さらにはファニチャーショップ、ボタニカルショップ、カフェ、ビューティサロン、輸入玩具店、コンビニなどのテナントを、ひとつづきの空間で展開しています。
そんな蔦屋家電の最大の特徴は、家電と本で総勢70名あまりのコンシェルジュを揃えていること。
それぞれのジャンルの高い専門知識や経験を持つコンシェルジュたちが、商品を選ぶ際、お客さんひとりひとりのライフスタイルに合わせてきめ細かなアドバイスをしてくれるのです。
というわけで、cowcamo MAGAZINE編集部では、この冬、暖かく快適に過ごせる暖房器具と、冬にこそ読みたいおすすめ小説を、それぞれの担当コンシェルジュの方にお伺いしました!
デザイン性と機能性、健康が考えられた、新世代の暖房たち
おすすめの暖房器具をご紹介くださったのは、家電企画事業部の徳永和子さん。
・オイルヒーターの快適さを超えた「第3のヒーター」
—まずはオイルヒーターで有名なデロンギの新商品とのことですが、形はオイルヒーターに似ていますね。
デロンギはオイルヒーターの代名詞とも言える老舗メーカーですが、こちらの「マルチダイナミックヒーター」は、日本のデロンギのスタッフが「究極の暖房をつくりたい」と本国イタリアのデロンギにお願いしたことで誕生した商品です。
オイルヒーターは、火を燃やさないので安全、空気が汚れない、部屋が乾燥しない、といった点で人気が高く、お子様やご年配の方がいるご家庭を中心に愛用されているかと思います。その一方で、オイルヒーターは構造上、立ち上がりが遅く、部屋が暖まるのに時間がかかったり、細かい温度管理がしづらいという難点もあるんです。そういった使いづらさを解消したのがマルチダイナミックヒーターです。形はオイルヒーターに似ていますが、電気ヒーターの一種、オイルは入っていません。
このヒーターの特徴は、設定温度に対して室温を±0.5℃という非常に繊細な温度管理ができる点です。これによって暖房をつけていることを忘れてしまうような快適な空間を創り出すことができます。オイルヒーターではなかなかここまで細かい温度管理はできません。また、立ち上がりはオイルヒーターに比べてかなり早く、約半分の時間でお部屋を暖めます。
もちろんオイルヒーターの長所もしっかり踏まえられています。温風が出ないので体に優しく、空気が乾燥しない、空気も汚れない。そしてとても静かです。人の息づかいぐらいの音だと言われているので、音はまったく気にならないと思います。ご覧のように、デザインもスタイリッシュでスリムですし、キャスター付きなので、リビングで使って、寝るときに寝室に移動する、といった使い方もできます。2014年に発売されたものですが、引き続き好評を得ています。
・睡眠を徹底的に考えたヒーターで贅沢な眠りを
2つめにご紹介いただいたのが、なんと寝室に最適な暖房です。
冬の寝室を快適な温度に保つのはなかなか難しいもの。寒さのあまり慌ててベッドに潜り込んだり、朝もなかなかベッドから出られなかったり。あるいは寝る前に部屋を暖めて、就寝中には暑すぎて寝汗をたっぷりかいていたりしませんか? こちらのヒーターなら、そんな悩みを一気に解決してくれるのだそう。
スチームトースターで人気が急上昇しているバルミューダ。スマートヒーター2はバルミューダらしいこだわりにあふれています。 ESH-1100SD-GW 69,000円(税別)
こちらも同じく新世代の暖房と言われているもので、バルミューダの「スマートヒーター2」です。睡眠を徹底的に考えて開発されたもので、やはり風が吹き出さない、乾燥しない、空気を汚さない、というメリットがあります。注目していただきたいのが、「ロイヤルスリープモード」という、快適な睡眠のためのモード。スイッチにひつじのマークがあしらわれています。人が寝ているときに快適な温度は15℃ぐらいと言われていますが、このモードにしておくと、就寝中は室内を約15℃に保ち、起きる1時間ぐらい前から徐々に部屋の温度を上げ、起きるころには20℃ぐらいになるよう、自動運転します。あとは地震でかたむくと止まるといった安全機能も付いています。タオルがかけられるホルダーもついていて、濡れたタオルを干せば、加湿できます。
ちなみに、暖房器具は加湿器と併用するとより室内を効果的に暖めることができます。空気が乾いていると、より寒さを感じてしまうんですね。空気が湿っていると、寒さがより和らぐんです。そして、暖房器具はなるべく窓際においてお使いいただくと、窓からの冷気の侵入を抑えることができるのでより効率よく暖まりますよ。
—加湿するとより暖かく感じられる、というのは意識していませんでした。役立つ豆知識まで教えてくれるのがうれしいですね。
・本物のようにゆらめく炎を眺めながら、贅沢なくつろぎタイムを
最後は少し変わったところで、こちらの暖炉風電気ファンヒーターです。ミストが出て、そこに光が当たることで、本当の炎が揺らめいているように見えるんです。
炎って、ぼーっと眺めているだけで癒されますよね。この暖房の炎は、自然現象で感じられる「1/f揺らぎ」を再現しているので、本当の炎のように見えるんです。もちろん設置工事も煙突も不要、薪をくべる必要もありません。暖房の上部も熱くならず、小さいお子様がいても安心です。
ただし、暖房能力は3〜8畳と弱めですので、メインの暖房器具と併用するのがいいと思います。
「でもやっぱり、お高い商品ばかりなんでしょう?」と思った方、全然そんなことはないんです!
セレクトショップのようなゆったりとした空間で、コンシェルジュにきめ細かく相談しながら、納得の価格で購入ができる。そんな贅沢を実現したのが蔦屋家電なのです。
※価格はすべて2015年12月現在。
BOOKコンシェルジュの感性がきらり
冬だからこそ読みたい小説3選
冬は家で過ごすことが多いもの。寒い冬だからこそ一層楽しめる「冬に読みたい小説」をBOOKコンシェルジュの方に選んでいただきました。
選んでくれたのは、人文分野のコンシェルジュ、小谷野純子さん。
・おせっかいだけどあったかい、昭和の下町物語
冬に読みたい小説と聞いて、まず寒さから逃れて暖かい部屋で読むなら、楽しくてあたたかな話しがいいなと思って最初に選んだのが、小路幸也さんの『東京バンドワゴン』です。
昭和のホームドラマのようなあたたかさで人気の小説で、10年続いているシリーズの中の1冊です。下町の老舗古本屋を営む4世代8人の大家族である堀田家が主人公で、年齢は79歳のおじいちゃん店主から小学生のひ孫まで。しかもロッカー、画家、スチュワーデス、イケメンの青年などとても個性豊かなキャラクターばかりです。
堀田家には「文化・文明に関する些事、諸事問題は、いかなることでも万事解決」という家訓があり、その家訓に基づいて、日常の中の小さな謎を家族で解いていきます。ちょっとおせっかいなんですが、人の関わりが薄い今だからこそ、あたたたかみが感じられるんですね。
物語の語り部は、すでに亡くなっている大おばあちゃん。大おじいちゃん店主の奥さんですが、その語り口調からも家族への愛情が溢れていて、すごく素敵だなと思います。
私が好きな場面がありまして、物語ではあたたかい家族の象徴として、食卓を囲む場面が何度も出てきます。会話をする場面では、家族みんなの会話が次々と羅列され、どことどこがつながっているのか、混乱してしまいそうになります。でもそれがその場の雰囲気をすごく表していますし、クセになる(笑)。
ちなみにこの小説は2013年に亀梨和也さんの主演でドラマ化もされました。シリーズ自体は長いですが、春夏秋冬4作から成る連作短編集なので、あまり本を読み慣れていない人でも、1話1話が短く、サザエさんのような感じですので読みやすいですよ。サザエさんは成長しないですけど、この小説は登場人物が成長していくところも見られます。老若男女に関わらずおすすめの1冊ですね。
・凛とした冬景色を舞台に描かれる、少女の成長物語
続いて、冬というキーワードでぱっと思い浮かんだのが、桜庭一樹さんの『少女七竃(ななかまど)と七人の可愛そうな大人』という作品。北海道の旭川を舞台にした、少女の成長物語です。
主人公は「たいへん遺憾ながら美しく生まれてしまった」少女、七竃。地方都市、狭い共同体の中で、美しいということは褒められるだけではなく、どちらかと言うとまがまがしい異形(いぎょう)として捉えられます。女たちからは妬まれ、男たちからは群がられ、孤独な生活をしている七竃ですが、彼女には同じく「美しい異形の顔(かんばせ)」を持つ、雪風という幼なじみの少年がいます。この異形なまでの美しさを持つふたりが趣味である鉄道模型に興じる姿が、世界から断絶された厳かな雰囲気をつくり出しています。
ふたりは、狭い世界でずっとふたりでいたいとお互いに願っていますが、この世界がいつか終わること、別れが来ることを知っている。それもふたりが持つ美しさが原因で別れが来るだろうとうすうす気づいているんですね。
雪風は、「君がそんなに美しく生まれてしまったのは、母親がいんらんだったからだ」という、すごい台詞をたびたび言うんですけど、七竃はそれを穏やかに、むしろうれしそうに頷いているという場面が何度かくりかえされます。とても不思議なシーンですが、最後まで読むと「ああ、あの台詞はこういう意味だったのか」と、とても切ない気持ちになります。
物語の語り部は七竃だけではなく、問題の母親だったり、雪風だったり、雪風の母親だったり、その他の可愛そうな大人だったりします。さらに面白いのが、飼い犬の視点からも描かれていて、「犬だからにおいでこんなことがわかっちゃうんだぞ」と。
物語の中で、美しい少年・雪風が、ナナカマドの実のような赤いマフラーを巻くシーンは、冬の光景として強く頭に残ります。雪が降るような静かな日に読みたい1冊ですね。
・家に閉じこもりな冬だからこそ浸りたい、とびきりのファンタジックワールド
最後はファンタジーを選びました。上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』です。上橋菜穂子さんは、『守り人シリーズ』や『獣の奏者シリーズ』など、大人気の長編シリーズを出している方ですが、この『狐笛のかなた』は1冊で完結している孤高のファンタジーです。
内容は、人の心が聞こえる「聞き耳」という力を持っている少女・小夜が、あるとき犬に追われていた子狐を助けます。その子狐は強力な力を持ちながらも、主である呪者に命を握られた「野火」という名の霊狐でした。つかの間の出会いでしたが、野火はその後も隠れて小夜を見守り続けます。人間でないから出てこられない野火の姿がとてもけなげで切ないのです。あるとき小夜は、自分の過去を知る人物に出会い、しだいに呪いや憎しみの連鎖が続く隣国との争いに巻き込まれていきます。そこには野火も関わっていき、物語が進行していきますが、争いに巻き込まれながらも小夜は決して流されることはありません。自らの意思で、時には逃げ、時には自分から関わろうと近づいていく。その芯の強さにすごく憧れますね。物語全体としては、死のイメージが漂っていて決して明るくはないのですが、森の深い闇の中にひとすじの月明かりが差すように、小夜と野火のまっすぐな絆が輝いていて、それが物語を明るく照らしている。そんな話です。
いわゆる児童文学というジャンルではあるのですが、おとなも読まないともったいないなと思いますね。けなげで純粋な愛が感じられて、清々しい気持ちになれます。ぜひ暖かい部屋で没頭してください。いや、没頭出来る1冊だと思います。
—小谷野さんの細やかな描写は、それぞれのシーンが鮮やかに目に浮かんできて、読む前からたちまち物語の世界に引き込まれてしまいました。さらにBOOKコンシェルジュには、「飛行機の移動中に、思いっきり浸れるラブストーリーを読みたい」とか、「子どもと一緒に楽しめる本が欲しい」、あるいは「元気が出てくる小説を読みたい」などなど、かなり漠然としたリクエストも可能。それぞれの知識や経験をフル活用しておすすめを教えてくれます。何度か通ううちに、特に趣味が合う「マイコンシェルジュ」が見つかるかもしれません。
個性豊かなコンシェルジュが揃う蔦屋家電、ぜひ足を運んで、あなただけの冬アイテムと出会ってくださいね。
取材協力:二子玉川 蔦屋家電
http://real.tsite.jp/futakotamagawa/
東京都世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズ S.C.テラスマーケット
TEL:03-5491-8550
営業時間:
1F BOOK売り場、およびスターバックスコーヒー 7:00〜23:00 、家電売り場 9:00〜23:00
2F BOOK売り場&家電売り場 9:00〜23:00
アクセス:東急田園都市線・大井町線「二子玉川」駅徒歩4分
取材・文:吉田タカコ/撮影:cowcamo編集部