後編・カウカモ編集長の愛車カスタム大作戦

インタビューを終え、まずは足利さんが伊勢谷の愛車の状態を診断。引っ越しに伴ってライフスタイルが変化し、しばらく乗らない期間があったという自転車は、ところどころにダメージが。

どのように整備&カスタムしたいかを聞き取り、メカニック担当の金子 聡(そう)さんにバトンパスします。

左上・まずは足利さんがどのようにカスタムしたいかをヒアリングしつつ、自転車の状態をチェック。/右上・サドルは経年で一部が破け…… /左下・チェーンは錆び、「SURLY」のステッカーも剥がれて判読不能に。/右下・今回、アドバイスとカスタム整備をしていただくメカニックの金子さん。

金子さん:今日はメンテナンスだけじゃなくて、カスタムもしたいそうですね?

伊勢谷:はい、見た目も乗り方も一新したいんです。アメリカの街なかで見かけるようなポップでカワイイ感じをイメージしているんですけど……

金子さん:わかりました。じゃあ、まずはハンドルから選んでいきましょう!

■カスタムの第一歩は、ハンドルから!

ということで、様々なタイプのハンドルが並ぶコーナーへ。金子さんいわく、ハンドルを変更するだけで、乗り方もスタイルも大きく変わるのだそう。

金子さん西海岸のビーチ沿いを走っているような、ゆったりとしたスタイルはどうです?

伊勢谷:いいですね〜! ハンドルの端っこにタッセルを付けて、ピロピロさせながら走りたい!

もともと装着されていたのは、ロードレーサーのようなドロップハンドル。これをアップタイプに変更すれば、着座姿勢がかなり変わる

豊富すぎる選択肢に悩んでしまいそうですが、こうしてプロとイメージをすり合わせながら選定していくのが賢い買い方(マンションと同じですね)。ハンドルに合わせて、レバーやグリップなどもチョイスしていきます。

■勢いがついたら、もう止まらない! 選ぶ楽しさに溢れる店内

こちらはタイヤコーナー。走行性能はもちろん、太さやカラー、溝のパターンで見た目が大きく左右されるパーツだ。実は最後の最後まで迷ったのがタイヤだった

基本的なスタイルが決まり、ハンドルまわりのパーツをピックアップした頃には、伊勢谷のテンションもアゲアゲに。『あれにしようかな』『あ、こっちもいいな』と目移りしながら、次々と部品を選択していきます。

左上・金子さんにアドバイスをいただきながら、サドルを選んでいるところ。/右上・ペダルはプラスチック? それともメタル? /左下・サビサビのチェーンは、ホワイトのアクセントが入ったものに交換!/右下・『いやーん、これめっちゃ可愛いじゃないですか〜♡』と動物のホーン(通称 “パフパフ”)を手に取る伊勢谷

カスタムの様子を眺めていて思ったのは、パーツ選びがまるで洋服選びのようであること。たとえばサドルを自転車にあてがってみて、『ハンドルが黒だから、白系の色がいいのかな』と伊勢谷が悩んでいると、『アメリカンスタイルならビビッドカラーも絶対似合いますよ』と金子さんがスタイリングをアドバイスしてくれます。

自転車は移動するための道具であると同時に、その人の個性を表すものでもあることに気付かされました。

こちらが選んだカスタムパーツ一式。ロックやライトなどもピックアップしたが、最後の予算調整で数点を変更した

こうして自転車の “全身コーディネート” がひとまず完了。最後にパーツを並べて、お財布とも相談しながら吟味します。

伊勢谷:最初はこんなに大胆に変更するつもりじゃなかったんですけど、ついつい楽しくなっちゃいますね!

金子さん僕も自分の得意なスタイルだったので、かなり燃えました。では、組み付けをしていきますね。

通常は数時間ほどで整備が終わるとのことでしたが、伊勢谷は仕事の都合で後日引き取りに。『どんな自転車に生まれ変わるんだろう』という期待を胸に、取材班は「ブルーラグ」を後にしました。

■そして…… 完成!!

アメリカンなビーチクルーザーテイストを取り入れた、ゆったりスタイルに生まれ変わった伊勢谷の愛車。公園の風景ともよく馴染んでいる

散々迷ったタイヤは、フレームと同系色のラインが入ったタイプに。ホイールのカラフルなビーズなど、一部持ち込みのパーツも取り付けてもらった

こうして、みごとに生まれ変わった伊勢谷の愛車。ビフォー&アフターを比べてみると、前傾姿勢で “攻める” 乗り方から、ゆったりとした姿勢で乗り回すキャラクターに大きく変化したことがわかります。

ライフスタイルは、絶えず変化していくもの。前編のインタビューでも触れましたが、人に合わせてデザインや使い方を変化させられる自転車って、やっぱりリノベーションとよく似ています。

みなさんも、長く付き合える “一点もの” を探しに、ぜひ「ブルーラグ」を訪れてみてくださいね。

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取材・撮影・編集:中山宇宴(後編)