気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の違いを「街の先輩」に聞いてみました! 「街の先輩に聞く!」、 第75弾は「幡ヶ谷」です。
今回取材する街は、幡ヶ谷。そう聞いて、さっそく周囲の人に『取材で幡ヶ谷に行くんだけど、どんなところか知ってる?』と質問してみました。以下、本当にあった解答です。
『どこだっけ?』 ……うん、その気持ちわかります。
『京王線だよね』 ……惜しい、京王新線!
『杉並区でしょ』 ……それはたぶん八幡山!
とはいえ、突っ込むことができるのは取材を終えた今だからこそ。恥ずかしながら、筆者も幡ヶ谷について、具体的なイメージはありませんでした。すでに魅力を十分承知しているという方も、一緒に幡ヶ谷について知識と思いを深めていきましょう!
■幡ヶ谷ってどんなところ?
幡ヶ谷は渋谷区にある街で、ざっくり言うと「新宿」「渋谷」「明大前」を結んだ三角形の真ん中あたりに位置しています。その魅力はまず、堂々たるアクセス力。「新宿」駅までは、京王新線で2駅・約4分です。
それだけではありません。「渋谷」までは豊富なバス便が使えます。
たとえば「幡ヶ谷駅前」のバス停からは、平日であれば1時間に15本ほど渋谷行きのバスが出ています。道路状況によって所要時間は様々ですが、空いていれば渋谷まで20分ほど。これは便利!
「幡ヶ谷」駅を出ると、目の前に甲州街道&首都高の高架がドーンと構えているのが特徴的。青信号のたびに、横断歩道の向こう側とこちら側とを、元気よく人が交差していきます。中心に6車線の大通りを抱く街だからか、大通りの北側と南側で、街の雰囲気は変わります。
ここでちょっと、 “幡ヶ谷ヒストリー” をご紹介しましょう。かつて、幡ヶ谷エリアはお隣の代々木エリアを含めた「代々幡村(よよはたむら)」を形成していました。1932年にまとめて渋谷区に編入されましたが、実は幡ヶ谷って、代々木の片割れだったんです!
■幹線道路沿いに住むメリット
そしてカウカモ的に、暮らし目線で注目したいのは “幹線道路沿い” というポイント。
騒音はちょっと気になるものの、幹線道路沿いには周囲より背の高いマンションが多いので、道路の反対向きにバルコニーがある高層階の住戸なら、便利で静かでナイスビュー、といういいとこどりができるカモ。
さてそれでは、幡ヶ谷について基本的な情報が出揃ったところで、いよいよ街の先輩にお話を聞いてみることにしましょう。
■“自転車雑貨屋さん” が、やがてカスタムバイク専門店に
今回は、幡ヶ谷で自転車店「BLUE LUG HATAGAYA(ブルーラグ幡ヶ谷)」を営まれている、店長の足利(あしかが)敏浩さんにお話をうかがいました!
「ブルーラグ」は、自転車・その周辺グッズを幅広く取り扱うバイクショップ。店長の足利さんは、元々はアパレル関係のお仕事をされていたそう。
14年前のオープン当初は、自転車そのものの販売は行わず、バッグやアクセサリーパーツなどを扱う “自転車雑貨屋さん” 的なお店だったそうです。ところが……
自転車向けバッグの販売をやってたら、当然自転車に乗ってる人が来るじゃないですか。それを見てて、ちょっとパーツの販売もやりたくなったんですよ。珍しいやつ。それで、パーツを取り扱い始めたら、だんだん店内に “金属モノ” が増えてきた。パーツの取り扱いが増えると…… やっぱり自転車本体の販売もやりたくなっちゃったんですよ。
それからスタッフが自転車店での修行を積んで、整備やパーツ取り付けの技術を習得。少しずつ守備範囲を広げていった結果、やがて自転車のフレーム(本体)まで取り扱うように! 今ではお客さんひとりひとりに合わせて、カスタムメイドの自転車を組み上げて提供しています。
“もっとこうしたら面白いんじゃないか” という純粋な興味と、お客さんへの誠意に導かれるようにして、次第に本格的なバイクショップになっていったという「ブルーラグ」。柔軟に形を変えて進化してきたその姿は、お店で扱うカスタムメイドの自転車にも似ているような。
もし、店のコンセプトを厳密に決めていたら、今の僕らは絶対にないんですよね。コンセプトが自分たちを縛り付けてたと思うから。変化を肯定してるっていうか、変わってもいいんだよっていう。僕らはここで、本当に『やりたい』と思ったことをやってるだけなんです。
だからお店のコンセプトは『無いんです!』と語る足利さん。なるほど~、可能性を限定せず、変化を肯定することが「ブルーラグ」の面白さにつながっているのですね。
■今を一緒に生きる相棒を
あれの機能は捨てがたいし、これもカッコイイ。店頭にあるものだけでも星の数ほどの組み合わせが生まれそうで、無限に思える “自転車銀河” にクラクラします。毎日をともにする相棒は、いったいどうやって選んだらいいのでしょう?
足利さんにポイントをうかがってみると…… 見た目の好み、雰囲気も大切ですが、何より用途に合わせることが大切なのだ! と力説してくださいました。
お客さんには、まずそれ(用途)をしっかりと聞いています。いくら自転車が珍しかったりカッコよかったりしても、乗ったらすごい疲れたり、サイズが合ってなかったりすると危ないし、やがて乗らなくなっちゃう。そうしたら、うちにももう来店してくれないじゃないですか(笑)
お話の中で驚いたのは、自転車には想像以上に細かいサイズが存在しているということ! 例えば、「ブルーラグ」オススメのブランド「SURLY(サーリー)」のように、1モデルにつき10サイズを展開しているものもあるのだとか。
自分にぴったりフィットした乗り心地のため、それだけの細やかなサイズを用意しているんですね。これは靴や洋服に置き換えるとよく実感できるような気がします。
自転車は乗り続けると故障することもあるし、職場や生活環境が変わって使い方が変化したりするものだから、たまにはメンテナンスやチューニングしていかないとダメですよね。
買ったら終わり、ではなくて、半年や1年に1回でも来店してもらえたら、都度適切なアドバイスができます。そうやってコミュニケーションを取ることで、その人にとって、一番いい自転車との付き合い方ができるんじゃないかなと思います。
「ブルーラグ」が組み上げる自転車は、どれも目の前のお客さんに合わせた “一点もの” なんですね。なんだかカウカモと共通する想いを感じて、取材班一同、首がもげそうな勢いでうなずいてしまいました。
中古リノベマンションも、人や暮らしに合わせてカスタマイズできるのがいいところ。住まいも自転車も、自分のライフスタイルに合わせて少しずつアップデートしていくのが重要なのかもしれません。