中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューをさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。
今回紹介するのは、今年4月にツクルバに入社し、cowcamoのコンテンツディレクターとして活躍している長澤豪(30代後半)の住まいです。長澤が家族と暮らす、東京都世田谷区の自宅を訪ねました。
長澤ファミリーが暮らすのは現在築48年の大規模マンション。周辺は緑が多く、子育て世帯にはうれしい住環境です。最寄りの二子玉川駅からは徒歩15分程離れていますが、二子玉川の街並みや緑道の風景を眺めながら歩いているとそれほど距離は気になりません。
■デザイナーズ物件に住んだ経験が、リノベーションのきっかけに
以前は賃貸マンションに住んでいた長澤夫妻。その物件はいわゆるデザイナーズ物件で、見た目のかっこよさはもちろん、使い勝手もよかったとふたりは口をそろえます。
デザイナーズ物件での暮らしがとても気に入っていました。大きな土間がある家だったのですが、玄関に入ったときに開放感があって。ほかの部分もすごく計算されたデザインになっていて、住み心地が最高でした。
ただ、45㎡ほどの広さだったので、子どもが生まれるとさすがにちょっと狭いかなと。せめて60㎡くらいは必要かなと感じました。
「おしゃれでオリジナリティのある家に住みたい」という思いは夫婦の共通認識としてあったので、第一子の妊娠を機に中古マンションの購入+リノベーションをすることにしたんです。
長澤が家探しからリノベーションまでトータルで依頼をしたのは、当時の家の近くにあった、とあるリノベーション会社。古民家を改装したようないわゆる不動産屋らしからぬ雰囲気のある店舗で、ずっと気になっていたそう。
休みの日に店舗を訪れて担当の人と話したところ、「この人とだったら絶対に素敵な家がつくれる!」と感じ、その場ですぐに依頼しました。
と、長澤は依頼の経緯を振り返ります。
物件探しで訪れた件数は、全部で20件ほど。値段、広さ、駅からの距離、周辺環境などの条件がなかなか折り合わず、家探しは迷走状態に。そんなとき、その担当の人に「駅からの距離は条件には合わないんですが、気にいるんじゃないかと思いまして」と言ってすすめられたのが、現在の住まいなのだそうです。
ずっと、「家から緑が見えるところがいい」と言い続けていたんです。でも、利便性も捨てられなかったので、なかなかマッチングする物件がありませんでした。
この物件の中に実際に入ってみると、窓からは森が見えるほど緑が多いし、ひと目見て「ここだー!」と思いました。担当の人が以前から知っていたオススメのマンションだそうで、語ってくれた魅力に強く共感したんです。
確かに駅からやや距離はありますが、最寄りは二子玉川だし、駅までの道が歩きやすく緑に溢れていたので許せちゃいました。たくさんの物件を見てきた分、これ以上の物件には出会えないこともわかっていたので即決でした。
そんな長澤の自宅を、さっそくのぞいてみましょう。
■リノベーションのテーマは、“ガーデンキャラリー”
玄関を開けると最初に目に飛び込んでくるのが、壁に貼られた “Garden Gallery” というロゴ。実はこれ、長澤邸のリノベーションテーマなのです。
なぜ「Garden Gallery」というテーマにしたかというと、自分たちの家を好きな器や植物を展示した、ギャラリーの空間にしたかったから。
玄関から伸びた土間を右手方向に進んでいくとLDKが広がるのですが、その土間エリアに足場板で飾り棚をつくりました。最初は、作家の陶磁器やガラスの器を飾って、スポットライトを当てて、ギャラリーっぽさを演出していましたが、今は子どもたちのおもちゃを飾りながら収納しています。
器が飾ってある状態が常設展だとしたら、今は企画展中みたいな(笑)。子どもたちの成長に合わせて展示物を変えていきたいと思っています。
また、長澤邸は照明や上から吊るすアイテムにもこだわりがある様子。LDKのダクトレールにはペンダントライトやスポットライトだけでなく、グリーン、流木、ドライフラワーなどを吊るしていて、いい雰囲気を醸し出しています。
一方、玄関から続く土間を左手方向に進むと、寝室、子ども部屋があります。 “家から緑が見えること” を物件探しの条件にするほど植物が好きな長澤夫妻は、家の中に植物専用のエリアまで設けていました。
土間の延長線上に寝室、子ども部屋、廊下側の3方向から眺められる植物スペースをつくりました。ガラス戸になっているので、夜になると照明で植物が浮かび上がって幻想的な雰囲気になるんですよ。
■制約の中で最大限に楽しむ。それがリノベーションの醍醐味
内装やデザインについては、こだわりが強すぎて打ち合わせ期間が長くなってしまい、引っ越すまでに時間がかかってしまったという反省点はあったそうですが、リノベーション会社に自分たちの理想や考えを積極的に伝えて主体的に進めていったそうです。
自分たちで間取りを描いてみたり、イメージ写真をクリッピングして資料にまとめたり、自分たちでも素材を探したりと、リノベーションには積極的に関わりました。
深く関わったからこそ言えることなんですが、いくらフルリノベーションと言っても、配管や梁、スペースの問題などで、できることとできないことがある。予算の都合による制約もあります。
でも、簡単に自分たちの理想としていることを諦めるのではなく、制限がある中で理想を叶えるやり方を見つければいいんです。例えばどうしても暗くなってしまう場所があるのなら、逆にその暗さを活かした内装を考える。それも、リノベーションの楽しさだと思います。
■まさかニコタマに住めるなんて!
長澤ファミリーが暮らすのは、開発が進み、ますます人気が高まる二子玉川。 もともと横浜に住んでいた夫妻は「市場価値の観点から考えても、やっぱり東京がいいよね」という憧れを抱いていたものの、まさか二子玉川に家を持てるとは思っていなかったそうです。
長澤に街の魅力や休日の過ごし方をを聞いてみると・・・。
二子玉川は駅に出ればなんでも揃う街で便利ですが、住む前はハイソなファミリーのイメージがあったので自分たちには合わないかと思っていました。もともとは自由が丘のような街が好きでよく街歩きをしていたんです。実際に二子玉川に住んでみて分かったのは、子どもが生まれると路面店よりショッピングセンターの方が圧倒的に便利だということ。広い道も多くて歩きやすいので、お散歩するのにもいいですよ。
休日は、まだまだ子どもが小さいので、あまり遠出はしません。半日くらいちょっと駅前に出かけたり、砧公園や多摩川に行ったりが多いですね。そして帰ってきて、リビングでお昼寝をしたり、敷地内の公園で遊んだり・・・という感じです。気軽にお出かけして、気軽に家に戻ってくるというようなゆるい過ごし方ができるので、小さい子どもを育てている僕たちにはすごく合っているのかなと思います。
新築では絶対に手が出ない、この二子玉川エリアに家を持つことができたのは、中古+リノベーションだからこそ。理想の家と緑に囲まれた豊かな暮らしが手に入り、とても満足しています。
ギャラリーのような空間、広い土間、植物専用エリアなどなど、長澤邸はどこをとっても夫妻のこだわりが垣間見られます。居心地のいい家をつくりあげるまでには苦労もあったようですが、自分たちが本気で関わったからこそ、オリジナリティに溢れた世界にひとつだけの場所ができあがったのでしょう。リノベーションを検討している方は、ぜひ長澤の住まいと経験を参考にしてみてください。
ーーーーー物件概要ーーーーー
〈所在地〉東京都世田谷区
〈居住者構成〉ファミリー
〈間取り〉2LDK
〈面積〉82㎡
〈築年〉築48年
取材・文:福田 彩/撮影・編集:國保まなみ