お誕生日を祝うときや、夜、リラックスしたいときに灯すキャンドル。何気なく使っていますが、ちまたで売られているキャンドルが何でできているか知っていますか?
大豆やパーム油などの自然素材でできているものもありますが、多くのキャンドルはパラフィン、つまり石油でできています。
今回ご紹介するのは、100%自然素材。ミツロウでできたキャンドルです。
ところでミツロウって何でしょう? ミツバチの巣のなかにあるもの、という漠然としたイメージはあっても、ミツロウが作られる詳しい過程を知る人は少ないのではないでしょうか。
cowcamo MAGAZINEではこの10月、ミツロウにこだわり続けているキャンドル作家のカトウチナツさんをお呼びして、キャンドルづくりワークショップを開催しました。
ミツロウの魅力、それはこのキャンドルづくりワークショップに参加すると、とてもよくわかります。さっそくワークショップの模様をご紹介しながら、その魅力を探っていきましょう。
参加してくださったのは、ほぼキャンドルづくりが初めて、という人ばかり。キャンドルづくりに先立って、チナツさんがミツロウってなあに? という説明をしてくれます。
ミツバチってすごい!
感動の「ミツロウができるまで」
ミツバチが花からせっせと蜜を集めてハチミツを作るというのは誰でも知っていますよね。でも花から集めてきたばかりの蜜は、あのとろ〜りおいしいハチミツとはほど遠く、水っぽくておいしくありません。
ミツバチはストローのような口で吸った蜜を一度体内に溜めて巣に運び、巣穴に貯蔵しますが、その際、ミツバチの体内にある酵素が加わります。さらに貯蔵している蜜にたくさんのミツバチたちが、羽根で休みなく風を送って水分を飛ばすことで、やっと糖度の高いハチミツができあがります。
完成したハチミツは、フタをして大切に保存されますが、このフタの部分がミツロウなんです。また、六角形の穴にかたどられたミツバチの巣そのものもミツロウでできています。
ミツバチは、ミツロウを作るために、できあがったハチミツを再度体内に入れ、お腹にある「蝋腺」という器官から分泌します。これがミツロウです。自分の身体から出した固いミツロウを、大顎で酵素を加えてこね、柔らかくして巣やハチミツのフタを作っていきます。
1匹のミツバチが一生で集める蜂蜜はティースプーン1杯。ミツロウを作るには10倍のハチミツが必要なので、ミツロウがいかに貴重なものなのかがわかりますね。
わー、ミツバチってなんて健気なんでしょう!! こんなに気が遠くなるような作業を経て、ハチミツやミツロウができるんですね。初めて知りました。これまで何気なく食べていたハチミツも、これからはミツバチに感謝して、ありがたく大事にいただくことにします!
ミツバチの写真や本物の巣を見せながらの説明に、参加者は興味津々。ふだんはミツバチを見かけると、刺されてしまうのではと、つい身構えてしまいますが、今日はみなさん、まじまじとミツバチの写真に見入っています。
さて、ひととおり説明をしたところで、こちらが今日のキャンドルづくりに使う、シート状のミツロウです。
とってもカラフルな色が揃っていますが、これらはクラフト用に食用の色素などで色づけしたもの。もとの色は、ほんのり淡い黄色です。ミツバチが集めて来た花粉が混ざることで黄色く色付きますが、ミツロウを収穫する時期や、集めてくる花の種類などによって毎回微妙に色が異なるのだそうです。
このシート、両面に六角形のハニカム模様がついています。実はこのシート自体が、養蜂に欠かせない道具なんです。
ミツバチが飼われている巣箱には、巣枠という木の枠が何枚も仕込まれています。その木枠に、あらかじめこのシートの4倍ぐらいの大きさのものをセットしておくと、その六角形に合わせて、ミツバチが巣を作っていくんです。
もちろんそのシートがなくてもミツバチは正確な六角形の巣を作れるんですが、シートをセットしておくことで、ミツバチの労力を削減して、養蜂家さんの扱いやすいように決まった場所に作ってもらうことができるんですね。
おおー、なるほど! このシート、もともとミツロウキャンドルづくり用のキットではなく、れっきとした養蜂の道具だったんですね。ハニカム模様の型押しも、てっきりハンドクラフトキットの演出としての模様だと思っていたんですが、この模様をもとにミツバチさんたちが巣作りをしていたとは!
数色の色の中から、各自3枚選んで、いよいよキャンドルづくりの始まりです。
今日作るキャンドルは、お題がありません。みなさんの好きなものを自由に作るスタイルなので、みなさん、うーん、何を作ろう、と悩みながらシートの色を決定。
それぞれのテーブルにミツロウシートが置かれると、部屋じゅうが甘いハチミツの香りで満たされてきました。