マンション暮らしでも大丈夫! 簡単DIYで「エコあたたかい住まい」を作る!

—年間で!? ほとんどタダみたいな金額ですね。これから家を建てるなら断然、あたたかくて、健康に暮らせて、光熱費もかからないエコハウスが一番ですが、では、中古マンションで暮らす場合はどうでしょう。新築のようにあらかじめ断熱性や気密性を高めた住まいにするということは不可能ですが、何かできることはあるのでしょうか。

マンションというのはもともと気密性がとてもいいものだし、南にちゃんと向いている住戸が多いので、日射値も採れるようにできているんですよ。そしてマンションが面白いのは、隣の世帯が断熱材になること。お隣さんが住んでたらあったかいんです。寒いのは外壁部分だけだから、本来マンションは、外側だけをぐるっと断熱して、窓をちゃんとしたものに変えればばっちりなんです。でも、残念ながら今、日本のマンションの断熱はゼロに等しい。特に窓が最悪で、高級マンションでも単板ガラスだったりするんです。おかしすぎるでしょ? これから中古マンションのオーナーとしては、1棟まるごと断熱していくようなことが求められてくると思います。

で、住まい手はそんな状況で何ができるか。窓は簡単には変えられないですね。でも南側の窓に内窓を付けるだけで劇的にあたたかくなります。建材メーカーなどで取り付けを頼むこともできますが、同じものをネットで安く購入して、DIYで設置することもできます。

もっと簡単なのが、断熱ブラインドを付けること。これもとても効果的ですよ。ハニカム状になっていて、その間に空気の層ができ、断熱される仕組みです。我が家はすべての窓に断熱ブラインドを取り付けたんですが、ふつうのブラインドのように採光を角度によって調節することができないので、最初はかみさんから反対されていたんです、外が見えなくなるとかなんとか。でも、設置したとたんに「なんで早くやらなかったの」って。そんなもんですよ(笑)。

それから、もっとずっと安くできる工夫もあります。窓の引違いの部分にモヘアテープ(※編集部注:モヘアシール、すき間テープという名称でも売られています)を貼る。これだけで窓のすき間風をシャットアウトし、断熱性を高めることができます。

ホームセンターなどで手軽に購入できるモヘアテープ。貼るだけで、窓からのすき間風を防ぐことができます。

—確かに、アルミサッシなのにいつもなんだかスースーして寒いなあと思っていたんです。これならたかだか数百円ですね。さっそくやってみます!

ほかにも、簡単に窓に設置できる手作り内窓もあります。

窓枠に1cm角のコの字型の枠(※編集部注:「コの字レール」とか「コの字チャンネル」という名称で売られています。アルミやプラスチック製)を両面テープでぐるりと貼って、4mmの厚さの「ツインポリカ」(※編集部注;正式名称は中空ポリカーボネイト。半透明のプラスチック樹脂パネルで、インテリアや建具、エクステリア、温室などに使われる。カッターでの切断が可能でDIYしやすい素材)をはめ込むだけ、というもの。材料は今、ネットで簡単に入手できますから。ツインポリカは柔らかくてたわむので、簡単にはめたり外したりができます。

岩手県紫波郡で開催した断熱リノベーションワークショップで、長屋の窓に設置した、ツインポリカ製内窓。

同じく岩手県紫波町の断熱リノベーションワークショップにて。温度が低くなりがちな玄関近くのダイニングと居室のあいだにある引き戸にもツインポリカを貼り、断熱性をアップ。これは真似したいアイディアです。

—おおっ、これはかなりDIYっぽいですね。こんなにぺらぺらの内窓を1枚取り付けただけでそんなに違うものですか?

ものすごく違いますよ。ほかにも、障子も骨組みの両側に障子紙を貼る「太鼓張り」にして間に空気の層を作れば断熱になります。

それから、角部屋の住戸は特に壁の表面温度が低いので、外壁側の壁にカーテンを張るだけでも全然違いますよ。その場合、壁に密着させすぎると結露しやすいので、壁との間に少しすき間をつくるようにしてください。

—なるほど、窓だけでなく、壁にもカーテンを張るんですね。単に断熱効果が得られるだけでなく、色や柄を選べば、お部屋の気軽な模様替えとしても楽しめそうです。

それと、玄関。北側にあることが多いですが、玄関ってだいたい鉄だから冷えるんです。そこで、ドアの内側に発泡スチロールのボードを貼っちゃう。要するに表面の冷たさが中に入ってこないようにすればいいんです。スチロールを貼って、その表面にシートでも貼っておけばいい。

—おー! これも、今は素敵な柄の壁紙が多いですから、スチロールの上に好きな壁紙を貼るといいですね。なんだか楽しくなってきました!

あとは、部屋の壁一面に断熱ボードを貼ってしまうのが一番いいです。まあどこまでやるかですけど、放射温度計というのを購入して、部屋のあちこちの温度を測ってみて、温度が低い場所から手当てすればいいですよ。放射温度計は、測りたい箇所に向ければ、その物体の温度が測定出来るというもの。3,980円ぐらいで売ってます。安いでしょう?

みんな、「寒い寒い」って言いながら、意外と何もせずに我慢して暮らしてるんです。

—本当ですね。少しの工夫でずいぶん寒さが改善されると聞いて驚きました。

最後に、竹内さんはこれからの日本の住宅環境はどのように変わっていくと思われますか?

これから日本はどんどん新築を建てづらくなっていきますが、もし建てるならエコハウス、中古に住むならできることは自分でしようよ、ということを伝えたいですね。それとともに住宅メーカーや建築業者も、「住宅屋さん」から「断熱屋さん」に変わっていくんじゃないかと思っています。

「日本のマンションの断熱はゼロに等しい」という竹内さんの言葉に、始めはがっくりきていましたが、実はDIYで簡単でリーズナブルに、しかも楽しく実践できる工夫がたくさんあると知ってうれしくなりました。

まだまだ寒い日は続きます。「すぐにあたたかい季節になるから」なんて我慢せずに、さっそく今日から実践してみませんか? その絶大な効果にきっと、「どうしてもっと早くやらなかったんだろう」と後悔するかも!?

ぜひこの冬はDIYであたたかくお過ごしくださいね!
 

■取材協力:みかんぐみ・竹内昌義