気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の違いを「街の先輩」に聞いてみました!「街の先輩に聞く!」、 第36弾は「護国寺」です。


文教地区と呼ぶにふさわしく、大学はもとより、有名小学校や中学校が隣接し、出版社やレコード会社が集まる落ち着いた街、護国寺。国立、私立の学校はもちろん、公立小学校においてもレベルの高さは有名で、教育環境の良さはお墨付き。そのために、この地域に越してくる子育て世代も少なくないのだとか・・・。言われてみると、音羽通りでは絵本を熱心に選ぶ親子に、スマホではなく単行本を手にバスを待つ中学生が目に入ります。

そしてここに、日本の将来を担う人材の育成を目的とした、“未来を見据えた学童” があると聞きつけて、長時間滞在型総合教育機関「e.s.court(えすこーと)」の代表、真崎今日子さんにお話を伺いました。

■仕事も教育も手を抜かない、お母さんの強い味方

自分が仕事を頑張っている間は、子どもにも有意義な学びの時を過ごして欲しいと考えるお母さんは多いと思うんです。

真崎さんは、大手学習塾で働いた経歴を持つ一方で、二人のお子様を立派に成人させたお母さん。子供の教育に手をかけたい一方で、キャリアを手放せない状況にあるお母さんの気持ちは、手に取るようにわかると言います。

民間学童「えすこーと」はEducation-教育と、Study-学習のCourt-庭として、そして働くお母さんの伴走(エスコートラン)をするように、仕事と教育の両立をサポートしたいという思いから。

働いて帰ってきて、お母さんが心の余裕を持って、子どもの宿題を見られるかと言われたら、厳しいと思うんですよ。毎日のことだけに。けれども、夜8時、宿題も終わっていて、新しい知識も増えてる、習い事で面白い経験をしてきたという状態だったら、ニコニコと親子の時間を過ごすことができるじゃないですか!

学童と言うと、放課後に学校の宿題を済ませて、遊びながらお迎えを待つ所というイメージが一般的。しかし、「長時間滞在型教育機関」を銘打つえすこーとは、学校からのお迎え、おやつ、宿題の手伝いに加えて、習い事、そして場合によっては夕食、送迎までを請け負う独自のカリキュラムとサポート体制で、教育熱心な共働きの家庭に支持を得ていると真崎さん。

2〜12歳を預かる民間学童えすこーとで、最も多いのは小学校低学年の層。学年や学校の垣根を越えて仲良しなのが伺えます。

1日の過ごし方の一例。

この日えすこーとに集まっていた子ども達、真崎さんに宿題を出すように促され、あれこれ言いながらも大きなランドセルから教材を引っ張りだし、ぶどうを口に放り込んでから担当の先生の呼ぶスペースに賑やかに集います。

宿題を見ると言っても、例えば、漢字の書き取りなど、簡単なものもあります。けれど、子どものレベルに合わせ、書き順を覚えることに集中させたり、音読み、訓読み、熟語を併せて学ばせたり、家庭学習って側で見てあげることで、その質をいくらでも上げることができるんですよ。

真崎さん曰く、子どもと一緒に勉強ができるのは、長くても中学校に入るまで。だからこそ、小学生のうちに家庭学習の習慣をつけると将来が大きく変わってくるのだと言います。

いつの間にやら、教室にはピアノの音色が響き、騒いでいた子どもたちは、それぞれの先生の元で活動を始めたようです。

左:定番のお稽古ピアノやバイオリンも充実。/右:大好きな先生の元へ駆け寄る子どもたち。

■護国寺の親は知っている、教育が子供のキャリアをひらく

未来を作る人材の育成という発想の学童を護国寺で始めた理由の一つに、真崎さんは、ここに住まうファミリー層の特色を挙げています。

この辺りは、古くから住んでいる方もいらっしゃいますが、地方出身だったり、海外と日本を行き来するご家族も馴染みやすい地域だと思います。比較的、学歴や社会的地位が高い方が多いかもしれませんが、総じて努力をして実力をつけた人が、堅実に暮らす街だと感じています。だからこそ、未来を見据えた教育に関心が高いのでしょうね。 

筑波大学やお茶の水女子大学など、周辺には教育機関が多く集まっている。

同じ学童でも渋谷、二子玉川とでは地域性による違いが見られるようで、中でも護国寺は東大も近く、筑波大学のエリアということもあり、頭脳勝負で戦う両親を持つ子ども達が集まっているという印象があるそうです。

生徒さんのご家庭はサラリーマンの中でも、出版関係は多いです。そして、病院もたくさんある地域なので、ご両親がお医者さんというお子さんも珍しくはありません。他にも、公認会計士、税理士、大学教授など、先生と呼ばれる職業が多いかもしれません。

頭脳勝負の風潮は、公立小学校にも浸透しているようで、中学から受験を希望する生徒も多く、そのレベルは中学受験のプロから見ても目を見張るものだとか。

■護国寺ファミリーの暮らしぶり

要望があれば21時まで預かり可能なえすこーとですが、護国寺の教室は19時には、ほぼ空になるそうで、この時間は二子玉川の教室と比較するときっちり1時間早いそう。

護国寺って、実はかなり都心に近い場所ですよね。その割には緑が多くて、皆さん、親子で自転車に乗って、近場でも東京の四季を満喫してますよ。

確かに、春は神田川の桜夏は椿山荘のホタル秋は六義園の紅葉冬は神楽坂で温かい鍋料理、と、風情に満ちた四季を存分に味わうことができるのがこのエリア。初夏になると子供達が「今夜は、椿山荘のビュッフェとホタル鑑賞~♪」と、スキップで教室を去っていく日もあるとか。

そんな護国寺ファミリーに日常使いの場所として人気なのが、海鮮居酒屋チェーン『はなの舞』だといいます。警察署の前の居酒屋さんに親子が出入りするのもおかしな光景のようですが、お母さんには、夕食を済ませて帰りたい日もあるものです。そんな時、メニュー豊富で、後からお父さんも合流できる居酒屋は、確かに使い勝手のいいレストラン。

「お子様連れ大歓迎です。鮪の解体ショーなど人気のイベントもやっていますよ。禁煙の個室のお座敷もあるので、ご家族揃って楽しんでいってください!」と、店長も慣れたご様子です。 

お祭りを彷彿とさせるお子様コーナー。お土産のサービスもあり子どもはワクワク。また、出版社の関係者の飲み会も頻繁に行われているようで、親子揃って “ちょっと見応えのある” 色紙が所狭しと飾られる店内。 

■2020年学習の現場の変化と護国寺の子供達

奇しくも2020年は教育指導要領が変わると言われている年。真崎さんによると、英語が中学受験科目になる可能性や、テスト問題の傾向の変化など、教育の現場はそう遠くない将来、従来の勉強法から脱する時を迎えると言います。

日本は2020年「生き抜く力」を問う時代を迎えているのではないでしょうか?

えすこーとでは、それぞの分野の専門の先生によって様々な習い事が行われています。そのバリエーションたるや・・・定番のピアノや英語、書道やそろばんに加えて、ディベート、プログラミング、科学実験教室、チェスとかなり珍しいラインナップ。

息子が言ったんですよ。今のままの教育では、ディベートや、プログラミングは日本人は歯が立たないって(笑)

アメリカ、シリコンバレー近くの名門大学で学んだ息子さんの口から出た、教育におけるカルチャーショックをヒントに取り入れた「作文・ディベート教室」と「ロボットプログラミング教室」は習い事の中でも特に人気。えすこーとでロボットプログラミングを半年習った小学3年生が、「朝日で開くカーテン」を作ったりもしたそうです。放課後を有意義に過ごしていたら、いつの間にやら実力がつき、ハイレベルな事をしていた・・・と言うのは、ここでは絵空事ではないようです。

ロボットプログラミングの授業の様子。少人数制の指導で、子ども達は集中してとにかく手を動かしていたのが印象的。

習い事って、子どもにとっては遊びと同じで楽しいんですよ。例えば、実験では「理科実験教室 アインシュタインラボ」の先生に出張してもらい、かなり本格的な授業をやっています。それでも、子ども達は目を輝かせてついてきます。しかし、それが問題集の中では、実験の暗記問題となって「理科って難しい、つまらない」という感覚に結びついてしまうのです。だから、低学年のうちにたくさん刺激を与えて、好奇心や、学ぶ喜び、考える楽しさを感じる機会を増やせたらいいと思います。

英語はLeptonというシステムを導入。教室の周りには、顕微鏡や白衣など、理科実験室用のアイテムが並ぶ。

取材の帰り道、小学5年生のグループに呼び止められました。課題で街の人に「福島のお米を食べることへの意識調査」をしているのだとか・・・。日本の未来のカーテンを開く英知は、護国寺から創られていく! と言ったら大げさでしょうか? そこに問題意識があって、素直な心があって、元気な体があって、問題を解決する知恵があったなら、未来はいかようにも変えられるーーー「学問は人生の羅針盤」と説いた大隈重信も眠る護国寺。日本らしい風情に溢れていながら、視野が未来や世界へと開けているこの場所では、激動の日本を生き抜いた先人が、未来に向かう子供達をそっと後押ししているのかもしれません。

民間学童保育のe.s.court(えすこーと)護国寺校 
住所:東京都文京区音羽1-17-18護国寺SIAビル3階
電話番号:0120-900-356
ウェブサイト:http://e-s-court.com/

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【 #神楽坂 】“良いもの” へのセンスが磨かれる街、 日本のプチ・パリ