室内を心地よく照らす「照明」

最後に取り上げるのは、これひとつでお部屋の印象がガラリと変わる「照明」。チェアを紹介した福井と同じ、ツクルバarchitecture室のチーフアーキテクトで、一級建築士の松山敏久が自ら設計を手掛けたこだわりのお家では、どんな照明を愛用しているのでしょうか?

無骨なコンクリートに手仕事の跡を感じる珪藻土、美しい木目のスギ材……様々な素材がMIXされたお部屋で鈍い光を放つ真鍮(しんちゅう)の照明。


LDKの東側にある寝室。左奥の窓は共用階段に面していて日の光はほとんど入りません。それを逆手にとり、イタリアの洞窟住居のような安心感のある空間に。ベッドの両脇を照らす照明は……

地層のように異なる土が重なってできた「塗り版築(はんちく)」の壁。そこに真鍮(しんちゅう)とラタンが組み合わさった照明が壁付けされている。

call / brass / NEW LIGHT POTTERY

「call / brass(コール/ブラス)」は十字に組んだ真鍮アームとシェードのついた壁付照明です。一部に巻きつけたラタンがアクセントに。

サイズ:幅150×奥行184×高さ229mm
問い合わせ先:ニューライトポタリー ☎︎0742-31-5305

ーーこの照明を選んだ理由は?

松山:仕事柄この照明の存在は知っていて、自宅をリノベするにあたり、構想初期から「call / brass」を使いたいという思いがありました。当初の計画では、同素材であるラタンを使ったデザインでベッドを製作する予定だったのですが、コストが合わず見送りに……。ですが今では、塗り版築を背景に存在感を放っているので気に入っています。


ーーおすすめのポイントは?

松山:真鍮とラタンの素材の組み合わせが他に類がなく、とてもきれいだなと思います。存在感のある照明なので、空間に華やかさを持たせたり、内装のキーポイントになる場所で使えると、グッと印象がよくなると思います!


リノベーションを行う段階から、設置する照明を決めていたという松山。用途や設置場所だけでなく、素材感で選ぶというのもポイントですね。壁付けタイプの照明は、ホテルライクな内装にとてもマッチしますよ♡

▼松山邸の紹介記事はこちら
寝室のイメージはイタリア・マテーラの洞窟。陰影・素材感を活かした、ツクルバ建築士の住まい


“リノベ暮らしの先輩” たちのお宅も拝見!
 

「PK22」をご紹介したBEAMSプレス・安武さんのリビング照明。グレーがかったガラスとワイヤーを組み合わせただけのシンプルな作りのライトは、繊細でありながら強い存在感を放っています。一点一点異なる気泡が入る姿もハンドメイドならではの魅力。ガラスで覆われた照明は、空間全体に柔らかい光が広がります。

Light Capsule /ピーター・アイビー
アメリカ出身のガラス作家、ピーター・アイビーによるペンダントライト。富山県に工房を構え、制作活動を行なっている。もともとは器作りから始まったが、同様にハンドメイドの照明も人気が高まっている。上下のドーム型のパーツを金具で固定する構造は、蓋つきのガラスジャーのようなデザイン。

サイズ:幅140×奥行140×高さ400mm
問い合わせ先:流動研究所(ryudoukenkyusho@icloud.com)

ニコタマに住むカウカモ編集部・長澤邸の寝室では、ながーいケーブルにボール型電球を組み合わせた照明が使われています。引掛けシーリングの設置場所と家具の配置がうまく合わない場合でも、長いケーブルの照明なら、こうやって天井のフックを経由することで好きな場所を照らすことが可能です。

LineMe BASIC / Line Me

発色のよいビビッドな原色、ナチュラルトーンの中間色、ヘリンボーン柄など、豊富なカラーバリエーションのファブリックコードと2種類の電源を持つ照明用ケーブル。好きな電球と組み合わせて、ぶら下げたり絡ませたりと自由な発想で照明づくりを楽しめる、リノベと相性ぴったりのアイテムです。

サイズ:2m(コード長さ)
問い合わせ先:リンインクープ ☎︎03-6323-8293

名建築をパリのアパルトマン風に〜」の記事に登場するTさんご家族。ご主人が照明好きということで、自分の家を持ったらヨーロッパの家のようにできるだけ間接照明だけで暮らしたいと思っていたんだそう。食事をする場所・本を読む場所・ただリラックスするための場所など……それぞれに合った照明を置くことで空間に陰影が生まれ、立体感を作り出すことができます。また、光に柔らかさが出てリラックス効果も得られますよ。

NJP Wall ロングアーム / ルイスポールセン

人間工学に基づいてデザインされたシェードがフレキシブルに可動する、ミニマルでスタイリッシュなNJPシリーズのウォールランプ。コンセントタイプのため電気工事が不要で、自由な位置に気軽に取り付けられ、部屋の模様替えやリノベーションにも最適な照明です。100%と50%の2段階調光機能付。

サイズ:直径149×奥行480×高さ480mm
問い合わせ先:ルイスポールセンジャパン ☎︎03-3586-5341


カウカモのお客様には “金色のあの子” が人気?!
 

cowcamo graph《カウカモグラフ》」に掲載されているお宅を拝見していると、こちらの「ゴールデンベル」がよく登場することに気付きました! ツヤっとしたゴールドの照明は過度な装飾のないデザインなので、どんな空間にも馴染み、幅広いシーンでお使いいただけそう。単体での使用はもちろん、写真のようにダイニングテーブルやカウンターで複数並べてお使いいただくのもオススメです。

A330S ペンダントライト ゴールデンベル / アルヴァ・アアルト

建築家アルヴァ・アアルトが手掛けた「A330S」(通称「ゴールデンベル」)は、ヘルシンキの老舗レストラン「サヴォイ」のためにデザインした照明。その名の通り鐘のような美しさと滑らかなシルエットが特徴で、1937年の発売当時から人気が高く、世界的にも評価されていました。一度は廃番になったものの、2007年よりArtek(アルテック)社から待望の復刻を果たしました。

サイズ:直径170×高さ200mm 全長:1000mm(シェード含む)
問い合わせ先:Artek Tokyo Store ☎︎03-6427-6615

▼記事はこちら
左 ・春を待ちわびて
右上・陽だまりのソファとヘリンボーン
右下・猫とレコードとポスターと。広告業界で働く夫婦が選んだ西小山ライフ

照明はインテリアコーディネートにおいて重要な要素のひとつ。ただ明るく照らすという機能だけでなく、空間の印象を変えるアイテムとしても大きな役割を持っています。ご自宅をリノベーションをする際には、どんな照明を設置するかを考えるのも楽しみのひとつになりそうですね!

番外編:友人から受け継いだ「アンティークスピーカー」

ここからは番外編! カウカモ編集部・中山宇宴(うえん)の自宅にある「オーディオスピーカー」をご紹介します! 彼はカウカモきっての超マニアック男子。キッチン脇にはエアガンがずらり、そしてリビングには100インチのホームシアター。最近では鍛金(たんきん)が趣味という彼から、秘密基地のような自宅で愛用するスピーカーを紹介してもらいましょう!

ホームシアターの両脇にはJBL社の本格スピーカーをレイアウト。背後の造作棚にもスピーカーを設置して、360度サラウンドの迫力ある音世界を楽しめるシステムに。

4311B / JBL

銘機と評される4310の後継機種として、1979年に発売された3ウェイ3スピーカー・バスレフ型の小型モニタースピーカー。録音スタジオなどプロユースのみならず、一般家庭にも広く普及した。

販売元:アンティーク品

ーーこのスピーカーのどこが気に入っている?

中山:劇場用スピーカーを開発してきたJBLのサウンド。言ってみれば、ホンモノの映画館の音を、家で聞くことができる点が気に入っています。30年前のスピーカーなのに、「レトロ」とか「味がある」というような懐古的な音ではなく、ポップやテクノ、ダンスミュージックのような近代的な音楽とかも生き生きと鳴らしてくれる。あとはJBL製品のなかでも珍しい、グレー塗装のデザイン。家の中で主張しすぎること無く馴染みやすいのが気に入ってます。

ーーこのスピーカーはいつ頃購入したの?

中山:これは購入したのではなく、実はある友人から「ちゃんと可愛がってくれる人の元で使ってほしい」と頼まれて無期限で預かっているものなんだ。おカネには替えられない宝物です。

ーー想い出が詰まったスピーカーなんですね。もったいなくて使えないのでは?

中山:いや、BGM的に音楽を鳴らしたり、普段見るテレビの音を再生したり、サラウンドシステムの主役として映画再生で使ったり。とにかく何にでも使っています。古いものを長持ちさせるコツは、「たくさん使ってあげること」だと思います。

▼中山邸の紹介記事はこちら
キッチン脇にエアガン、リビングに100インチシアター! 趣味満載のワンルームリノベ

お次は、オーディオマニア中山がオススメするスピーカーをご紹介。彼の解説付きでご覧ください!
 


1.スマホで簡単にいい音を楽しみたいなら

Beoplay M3/ BANG & OLUFSEN

サイズ:幅112×奥行き140×高さ151mm
問い合わせ先:完実電気(tinfo@kanjitsu.com)

中山:人間工学に基づいて設計された、斬新なデザインのスピーカーを数多く手掛るBANG & OLUFSEN(バング・アンド・オルフセン)。オーディオマニア的には “スピーカー界のアップル” のような位置づけで、個人的にいつかは所有したい憧れのブランドです。小型モデルの「Beoplay M3」は、グリルにヨーロッパのテキスタイルメーカー「クヴァドラ」製の生地を採用。チェストの上やデスクトップ、テレビ脇など、どんな場所にも似合うデザインが特徴です。BluetoothやAirPlayなどで、スマホやパソコンからワイヤレスで手軽にいい音を楽しめますよ。


2.映画も音楽も、より本格的なサウンドをお手軽に再生したいなら

LSX/ KEF

サイズ:幅180×奥行き180×高さ240mm
問い合わせ先:KEFJAPANコールセンター ☎03-3528-2101

中山:テレビの両脇に置いて、スマホから映画まで様々な音源を手軽にいい音で再生したい、という方にオススメ。「LSX」は上位機種「LS50 Wireless」の小型版となるアンプ搭載型のワイヤレススピーカーで、技術面をしっかり継承している点が注目。最新の各種無線フォーマットで再生も簡単。僕は以前、アンプ非搭載版の「LS50」を所有していましたが、そのサウンドはまるで大型スピーカーかのような堂々とした伸びやかさ。このサイズのスピーカーとは思えないような品質の音が印象的でした。


3.本格オーディオを始めたいなら

L82 Classic/ JBL

サイズ:幅281×奥行き315.5×高さ473mm(グリル含む)
問い合わせ先:ハーマンインターナショナルコールセンター ☎︎0570-550-465

中山:スピーカー、プリメインアンプ、プレーヤーといった機器を一通り揃えた本格オーディオを始める方には、こちらがオススメ。録音スタジオ用に作られたモニタースピーカーを家庭用として使うと、刺激の強い音にすぐに聴き疲れしてしまいます。でも、こちらの「L82 Classic」は原型が家庭向けモデルで、その設計思想をしっかり受け継いでいるため、イージーリスニング用にも映画再生用にもぴったりな音。なにより、クラシカルなデザインがカッコいい!!!

おお(笑)、解説ありがとうございました!
ちなみに中山はホームシアター専門誌の編集部に就職し、そこからオーディオ・ビジュアルへの興味と知識を深めていったそう。さすがの知識量ですねー。

お部屋を飾るインテリアもそうですが、せっかくならばいい音に触れて暮らしたい!と思った方は、ぜひこちらも参考にしてみてくださいね。

自分が好きなインテリアで、暮らしをもっと楽しもう!

リビングでくつろぐためのチェア、お子さんや友人と一緒に食事を楽しむダイニングテーブル、空間に変化を与える照明やオーディオ機器など、インテリアといっても種類はさまざま。その場所でどんな生活を送りたいかによって、自分の好きなようにカスタマイズできるのがインテリアの魅力。

家と同じように、お部屋のコーディネートも人それぞれ、“一点もの” だと思います。そして何よりインテリアを楽しむコツは、自分が「好き」と思えるモノを選ぶこと。テーブルを紹介してくれた森の言葉を借りると「いいものを大切に長く使い続けること」で、暮らしにもっと愛着が湧いてくるのではないでしょうか。

さて、今回は4つのアイテムについてカウカモスタッフやリノベ暮らしの先輩たちのリアルな暮らしとともにご紹介しました。気になるアイテムはありましたか? 私は、座り心地のいいラウンジチェアが欲しくなりました(笑)

これから新しく家を購入される方は理想の住まいを妄想しながら、すでにご購入済みの方はお部屋のアップデートや心機一転に、新しいインテリアを取り入れてみてはいかがでしょうか♪