【4】山下
ご存じの方も多いと思いますが、世田谷線の「山下」駅と小田急線「豪徳寺」駅はわずか徒歩1分の距離です。実際にあるお寺の豪徳寺が駅名の由来で、招き猫発祥の地としても有名ですね。
なぜ同じ「豪徳寺」駅じゃないのかと思う人も多いと思いますが、世田谷線にはかつて「豪徳寺前」駅と言う駅が存在したようです。駅の統廃合で「豪徳寺前」駅は無くなり、世田谷線でお寺の豪徳寺に1番近いのは「宮の坂」駅となりました。そちらを小田急線に合わせて「豪徳寺」駅とすると、離れた駅なのに名前が一緒で混乱しそうですよね。事実は定かではありませんが、そんな当時の思惑が色々と絡んで現在の名前に落ち着いたのかもしれませんね。
2路線が交わる乗り換え駅ながら、駅前には大きな通りがなく、古くからの入り組んだ低層の住宅街が広がっています。よって、大きな建物が少なく、実はマンションの売り出しが極端に少ないのも特徴です。
小田急線の北側は、山下商店街です。1本横道に入ると、すぐに静かな住宅街の装いです。街の招き猫さんも歓迎してくれました。
南側は豪徳寺商店街となっています。昔ながらのお店と、イマドキなお洒落なお店が共存しているのが魅力です。
(追記;以前『街の先輩に聞く!』連載で取材させていただいた、写真右上「Fikafabriken(フィーカファブリーケン)」さんの記事も合わせてどうぞ!)
【5】宮の坂
やってきたのは「宮の坂」。駅前には何やらレトロな電車が……なんでもかつて世田谷線を65年間走っていた車両だそう。隣接する「宮坂区民センター」の展示スペースとして公開され、市民に親しまれているようです。
そしてすぐそばには「世田谷八幡宮」が。江戸三相撲の名所とも呼ばれる神社で、今から900年以上前、源義家という武将が戦勝を祝して兵士たちに奉祝相撲を取らせたことに由来するんだとか。そういえば「宮の坂」の “宮” ってここのことなんですね。
駅周辺を散策してみると、線路沿いに気になるお店をちらほら見つけました。南国のビーチに建っていそうな「バレアリック飲食店」、ネオンサインがかわいい。近隣に商店街やスーパーはないようなので、この街で暮らすなら日々のお買い物は隣駅か「経堂」まで足を伸ばすと良さそうですね。
それではお待ちかね?「山下」駅でgoさんがチラッと紹介していた「豪徳寺」に行ってみましょう。まず参道の松並木が圧巻です。さて、続いては招き猫で有名な「招福猫奉納所」を見てみましょう! と言いたかったのですが、残念ながら現在改修工事中(完了予定は2022年4月ごろとのこと!)。せっかくなので寺務所で招き猫を一匹お迎えして帰ります。いいお土産ができました。
それにしても寺社仏閣の風情ある緑を身近に感じられる街って素敵ですよね。そんな雅な空気をたっぷり吸い込んだところで、次の街へ向かいましょう!
【6】上町
酒井が担当するのは「上町」駅。
かけ付けの一品は「鹿港(ルーガン)」の肉まんと決めていたわたくし。この日もお店の前には行列がズラリでしたが、並ぶ価値は大いにアリです。
さて、「上町」といえば「ボロ市通り」や「代官屋敷」など、歴史的に著名なスポットが多い街。では、暮らしやすさはどうでしょうか。
まずは交通便。駅前の停留所からは「渋谷」駅行きのバスが発着しており(始発です)、田園都市線に乗り換えずとも都心にアクセス可能。『世田谷線は交通弁が……』とひと口には言えません。
次は住まいについて。戸建てが多い印象ですが、マンションもちらほら散見されます。特に「東建第2上町マンション」(上)、「日商岩井豪徳寺マンション」(中)、「上町マンション」(下)は駅が近くて生活利便性は上々。カウカモ編集長を唸らすルックスのよさにも注目です。
この後われわれは、周辺をふらりと散策。カウカモ編集長が足繁く通うというビンテージショップ「tahlia store(タリアストア)」を訪れ、しっかり散財を済ませていらっしゃいました。さすがは世田谷線。おしゃれなお店もどんどん増えているようです。
それでも、「上町」の魅力はローカル線ならではの風情がしっかりと残されていることだと思います。おしゃれさと古くからこの地に根付いた暮らしがうまく共存している、そんな風に感じました。
「三軒茶屋」や「松陰神社前」はちょっとおしゃれすぎるんだよな……なんて方は、ぜひ一度足を運んでみてください。
それでは、次の駅へ向かいましょう。