中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。
今回は、東京都目黒区にお住まいのAさんご家族(ご主人:40代、奥さま:40代、息子さん:小学生、娘さん:幼稚園生)のご自宅にお邪魔しました。
Aさんご家族が暮らすのは、坂が多い恵比寿エリアでもひときわ高台に建つ築11年のマンション。閑静な住宅街で周囲には緑や公園が多く、都心とは思えない自然豊かな環境です。そんなロケーションの魅力を最大限に堪能できるのが、この広いルーフバルコニー!
富士山に桜、花火、トンボの群れ。遮るもののない視界に大満足!
訪れた誰もが歓声をあげるこの眺め。5階建ての低層マンションながら、高台に位置するため超高層ビルのように眺望を独り占めできる最高のロケーションで、本当にここが恵比寿? と驚くほど。
ご主人:このルーフバルコニーが欲しくて購入したようなものです。本当に眺めが良くて、春は眼下に桜が咲き、夏は遠くに二子玉川の花火が見えるんですよ。晴れた冬の日なんかは、遠くに富士山も見えて。
自然が豊かなところも気に入っています。秋になると近くの公園の池で孵化したトンボの群れが飛んできたりして、四季を楽しめますね。
室内は2層から成るメゾネットで、上階にあるルーフバルコニーは明るい南東向き。緑豊かな国有地に隣接しているため街のにぎわいからほど良く離れ、自然に囲まれた環境は別荘を訪れたかのようです。鳥の声が聞こえ、時にはカマキリやイモリ(!)も姿を見せるそう。
高台にあるこのマンションでもルーフバルコニーがあるのは最上階のみ。しかもAさんの住まいは方角的に周囲の視線が気にならず、特に恵まれた環境です。このロケーションに巡り会えたのも、「眺望」にこだわって待ち続けた甲斐あってのことでした。
「恵比寿」「ルーフバルコニー」に条件を絞り、探すこと2年
以前は同じ恵比寿エリアの賃貸マンションで暮らしていたAさんご家族。2人目のお子さんが生まれたのを機に、より広いマンションへの引越しを考え始めました。条件はシンプルで、「気に入っている恵比寿エリアであること」、そして「眺望が良いこと」。
ご主人:こういう高台の物件や公園に隣接した物件を探していました。高級タワーマンションにはあまり興味がなくて、ルーフバルコニーが欲しかった。そうすると、必然的に比較的低層のマンションに限られるんですよね。
だけどルーフバルコニーがあるマンションって、恵比寿に5棟ぐらいしかないんですよ。だから不動産会社に登録して、そういうマンションを全部リストに入れて張り込んで。ファミリー向け物件が売りに出されたらメール通知が飛ぶようにしていたんです。2~3年ずっと待っていたら、一番いいなと思っていたこのマンションが売りに出されたので即決しました。
築11年のこのマンション、ルーフバルコニー付き物件が売りに出されたのは、今回が初めてだったそう。千載一遇のチャンスをつかんだのは、「こんな家に住みたい」という軸をブラさずAさんが待ち続けたゆえ。時間はかかりましたが、「条件を絞らなければ、永遠に探し続けることになったと思う」と振り返ります。
「分譲」「中古マンション」にこだわったわけではなく、立地とルーフバルコニーという条件に合えば、新築マンションや賃貸マンションなども検討してきたAさん。築年数にもこだわらず、「新耐震基準」でさえあれば良いという考えでした。
ご主人:新築マンションなど他の物件もいくつか下見に行ったんですが、なんとなくピンとこなかったり、契約上心配な要素があったり。震災直後に経済状況がどうなるかわからないと見送ったこともありましたね。
本当にこの物件は縁を感じる一点ものだから、予算は頑張りました(笑)。いい物件が出たら頑張るつもりでいたけれど、出なければ無理してまでは買わないというスタンスで粘り続けて、ようやくという感じです。
床面積はバルコニーを除いて約98㎡と希望にほぼ合ったもの。ふたりのお子さんの個室を考えて3LDKという条件もクリアしました。
ご主人:と言ってもひと部屋は階段ホールの延長なので、部屋としてカウントするのはギリギリだったんですが、最上階でこの眺望の物件はそうそう出ないだろうし、行っとけ! と(笑)。駅からも近いしルーフバルコニーもあるしで、将来的に価値も下がることはないかなぁ、と考えて決断しました。
さらに縁を感じるのが、この物件の前オーナーが偶然にもAさんの知人だったこと。
ご主人:知り合いがこのマンションに住んでいることを知っていたので、売りに出たタイミングで様子を聞いたら、なんと売りに出たのはその人が住んでいる部屋だったんです。
そこにも縁を感じて、購入することに決めました。
立地・眺望と「代えの効かない条件」を優先し、リノベーションは最小限に
とにかく立地と眺望が最優先。後からリノベーションで変えられる内装は、購入時にあまり重視しなかったというAさん。幸運なことに前オーナーが選んだドアやキッチン、ブラインドなどがセンスに合ったため、内装で手を加えたのは床材と壁紙のみでした。床はもともとフローリングでしたが、メインの空間であるLDKと廊下の床はタイルに、寝室と子ども部屋は落ち着きのあるカーペットに変更しています。
「物件自体に予算をかけたので、リノベーションはあまりできなかった」と笑いますが、優先順位をはっきりさせていたからこそ、予算のバランスがうまくいったということ。結果的にこの方針は大成功でした。
奥さま:キッチンも、マンションにしては広く収納も多いので気に入っています。前のオーナーさんがダイニング側のカウンター下を収納に変更してくれていたのも良かったですね。
前の賃貸マンションとの契約の関係で、リノベーション工期が3ヶ月足らずとタイトスケジュールだったこともあり、当初はご夫妻で床材やカーテンのショールームを回って決めようと考えていたそう。ところが在庫や納期の確認、工事の段取りなどの専門的なことが分からず「大混乱しかけました(笑)」とご主人。
ご主人:細かいことも、知らないことがたくさんあって。例えば床をタイルにするなら幅木(壁と床が接する部分の壁に設置する横板)も木からタイルに変えた方がいいとか、タイルの目地を廊下とリビングでまっすぐ合わせた方が広く見えるとか、そういうことは僕たちでは分からない。これは自分たちだけでは難しいぞ、とプロのコーディネーターに依頼することを決めました。
奥さまが見つけた元イリアのメンバーが独立したインテリア事務所に依頼し、リノベーションをスタート。LDKの床は、デザイン性と掃除のしやすさからタイルを選びましたが、納期の問題でサイズとデザインの好みがぴったり合うものが揃わず、60cm角のタイルを販売店に交渉して45cm角にカットしてもらったそう。
ご主人:やっぱり中古物件は良い立地を選べるのが魅力です。眺望や立地は後からは変えられないから妥協せずに選ぶこと、それから変更が難しかったり費用がかかる間取りや水回りの設備も希望に合ったものを選んでおけば、内装は後からどうにでも変えられる。それは今回、つくづく感じましたね。
リノベーションでは変えることのできない「眺望」と「立地」を優先したことで手に入れた、理想の暮らし。Aさんの住まいは、「自分の軸を持つ住まい探し」の大切さを教えてくれました。
ーーーーー物件概要ーーーーー
〈所在地〉東京都目黒区
〈居住者構成〉ご家族(ご夫婦+息子さん+娘さん)
〈面積〉約98㎡
〈築年〉築11年
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取材・文:石井妙子/撮影・編集:國保まなみ