気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の暮らしぶりを「街の先輩」に聞いてみました!「街の先輩に聞く!」、 第32弾は「池尻大橋」です。


渋谷から田園都市線で一駅、駒場東大前駅や代官山駅、中目黒駅も利用可能な範囲内で、首都高速のジャンクションも存在する、利便性はいうまでもない池尻大橋エリア。最近はコーヒースタンドが集中するコーヒータウンとしての知名度も上がっています。しかしそんな都会でオシャレなイメージの池尻大橋が、実は大型スーパーも商店街もあり、広い公園や緑もある、都会の中心とは思えないほどの住みよい街であるということを知っていましたか?

今回はコーヒータウンとしての池尻大橋を支える存在でもあり、多くのメディアでも取り上げられ連日大盛況のパン屋さんTOLO PAN TOKYOのパン職人である田中真司さんに、住む街としての池尻大橋の魅力と仕事への情熱を伺いました。

■小さな幸せを感じることができる、どんな人にも平等な街

パンって、どんな人にも平等にあるものだと思うんですよね。例えばひとつ300円だとして、裕福じゃない人にも買えない値段ではないと思うんです。セレブな人も、そうではない人も同じパンを食べる。毎日じゃなくても、ひとつだけでも買いに来てもらえるから、誰でも気軽に立ち寄ってもらえる。それがパン屋さんだと思うんです。

ボクサー時代減量中に『魔女の宅急便』を観てパン屋さんのあたたかさに感動し、パン職人を志したという田中さん。

そう語ってくれたのはTOLO PAN TOKYOのパン職人である田中真司さん。

そして、パンのように気取らない、誰に対しても間口を広いところが、池尻大橋の魅力だと言います。

TOLOPANのある、池尻大橋駅前商店会の様子。

渋谷から1駅ということもあり、若い人の姿も多く目につく。

僕は12年近く池尻大橋に住んでいるんですけど、普通でいたいと思えるというか、力まなくていい街だと思っています。自分の家って落ち着く場所であってほしいじゃないですか。その家がある街が気取ってないといけないとか、背伸びしなきゃいけないとなると、しんどいと思うんですよね。

池尻は、例えばそこにパン屋さんがあったら、高いものを買わなくても、それさえあれば幸せだと感じられるような街だと思うし、僕らのお店もそういう小さな幸せを提供できるお店でありたいと思っています。

トロパンというとても愛らしい名前は、長瀞(ながとろ)の “瀞” から取ったそう。

大人気商品、クロワッサン!

■パンとコーヒーが、街に新たな魅力をもたらした

そんな池尻大橋、最近はオシャレなお店も多く、スタイリッシュな印象を受けますが、TOLO PAN TOKYOをオープンした当初の街の雰囲気は全く違うものだったと言います。

オープン当初は、提灯のある居酒屋のような昔ながらのお店とお年寄りの方が多くて、若い人がやっているお店ってあまりなかったんですよ。パン屋さんというイメージの街でもなかったし、なかなかお客さんが入らなくてけっこう大変だったんです。

でもこちらから周りの人に挨拶をしっかりして、商店街の人ともどんどん喋るようになって、関係ができるにつれて、本当によくしてくれて。「あの子いい子なんだよ」って他のお店の方が言ってくれたから、地元のお客さんに受け入れてもらえたようなものです。

商店街の会合みたいなものも、若い人で参加している人は少ないんですけど、未だに僕らは参加してます。忙しくて行事に参加できない時も「TOLO PANが頑張ることで池尻が活性化するんだから」と応援してくれるのが嬉しいですね。

そうしてTOLO PAN TOKYOの知名度が上がるに連れて、「パン屋があるならコーヒーもニーズがあるはず」と次第にコーヒースタンドも集まるようになり、街に訪れる人の数も多くなっていったそう。まさにTOLO PAN TOKYOを中心に、池尻大橋はその姿を変えてきたと言えます。

TOLOPANからほど近くのところにある「Bubbles Chill Coffee」。

他にも「GOOD PEOPLE & GOOD COFFEE」(左上)や「The Workers Coffee & Bar」(右上)、「JAM STAND COFFEE」(左下)、「P.N.B. COFFEE」(右下)など、コーヒースタンドが多く存在する。店舗同士の交流もあり、昨年春には「池尻大橋コーヒータウンフェスティバル」なども企画された。

スタンド同士も特色が全然違うので、ライバル関係というよりは一緒に池尻大橋を盛り上げよう、という感じですね。うちも含めて結構交流もあるんです。最近は公園でうちのパンとスタンドのコーヒーを飲む、なんて人も多く見かけますね。

■都会を忘れる青い空と木々のある街

そんな池尻大橋のもうひとつの魅力は、緑の多さです。このエリアには世田谷公園をはじめ、大小様々な公園が実はかなりの数存在します。中でも東山公園は、中心に大きな芝生が広がり、広い空が見渡せることが特徴的で、取材当日もたくさんの子ども達が遊んでいました。 

広い芝生が印象的な東山公園。

この公園の周辺は、学校施設や公務員住宅などに広く土地が使われ、道幅も広いため、歩いていると都心とは思えないゆとりを感じます。

実は池尻大橋周辺は戦前、駒沢練兵場などの軍事施設があり、戦後その敷地が丸ごと転用されたことから、広大な敷地を要する施設を都心の真ん中に建てることができたのだそう。

ゆとりがたっぷりある道幅。

廃校となった旧池尻中学校舎を世田谷区から借り受け、再生した複合施設「IID世田谷ものづくり学校」。様々なイベントやワークショップ会場として使われている。

うちに来るお客さんも主婦の方が増えていますし、子どもの数も増えたのかなぁと思いますね。やっぱり子どもがいればいるほど街は活性化していきますからね。

また、2013年にオープンした目黒天空庭園もこの地域にある人気の公園のひとつ。首都高速道路の大橋ジャンクション上という珍しい場所にあり、晴れの日には富士山を臨むこともできます。

目黒天空庭園はペットのお散歩にもぴったり。

目黒川は、首都高速を境目に目黒川緑道に姿を変える。地域の皆さんによる熱心な手入れが行われているそうで、四季を感じられる。

■お店の情熱が街を変えていく

約2年前から、同じく池尻大橋にサンドイッチのお店TOLO SAND HAUSをオープンした田中さん。

TOLOPAN TOKYOの隣の隣にある「TOLO SAND HAUS」。

カウンター席で美味しいサンドイッチを楽しむことができる。

今は休みの日も朝4時には店に行って試作をしたりしています。やっぱり毎日続けないと、結局のところ腕は鈍る。だから夏冬以外は休みを取っていません。それくらいやりたくてしょうがないんですよね。

今パン職人として20年目なんですけど、最初の10年、15年はただ一生懸命商品を作っていたという感じだったんです。それが今は、自分だけの作品を作っているという感じになってきて。知識と経験が積み上がってきていて、まだ体力がある状態で、ちょうどいい作品ができている手応えを感じる。遊ばないのかと言われたりもするけど、仕事が遊びのようなものなんです。

これまでの街の魅力や人との関係を大切にしつつ、仕事への熱意を持って街に新たな刺激を与えている田中さん。田中さんのような仕事への情熱を持った方々が、これからの池尻大橋をさらに新しく、面白い街へと変えていくのだと感じました。

TOLO PAN TOKYO
住所:東京都目黒区東山3-14-3
電話番号:03-3794-7106
営業時間:7:00-19:00
定休日:火曜、第1・3水曜
ウェブサイト:http://tolotokyo.com/

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