気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の暮らしぶりを「街の先輩」に聞いてみました!「街の先輩に聞く!」、 第24弾は「浜田山」です。
世帯当たりの年間所得が一番高い路線という研究結果も出たことのある京王井の頭線。中でも「日本一ポルシェが売れる街」との異名も持つ浜田山は、ゆとりを持って建てられた低層のマンションが並ぶ高級感溢れる住宅街で、その洗練された雰囲気と都会にありながらも落ち着いた空気は、イギリス・ノッティングヒルを想起させます。
今回は、その浜田山で紅茶とイギリス菓子の専門店を開いている和田真弓さんに、浜田山マダムの暮らしについて伺いました。
■浜田山マダムがホッと一息つける場所
浜田山の駅を降りたら、目の前に成城石井があって、街並みの雰囲気もすごく良くて。もっと回るつもりだったんですけど、他は見ずに即決してしまいました。
店舗の場所を決めた経緯をそう語ってくれた和田さん。4年前にここ浜田山に本格紅茶とイギリス菓子の店『ベリーズティールーム』をオープン、紅茶やイギリス菓子の教室も開催しています。
紅茶を楽しむお店ということで、ハイソな方が住んでいるエリアがいいな、と思って井の頭線や京王本線沿いでと考えていたんですけど、浜田山はイメージにぴったりでした。街としては小さいですが、高級住宅街も広がっているのでお客様層も良いですし。
紅茶専門、そしてイギリス菓子専門という珍しさから、休日やお教室には遠方から通う方も多いということですが、平日はご近所の方が多くいらっしゃるというこちらのお店。取材に伺った当日もお子様を連れてお茶を楽しまれるマダムの姿がありました。
浜田山にはお茶をするところがまだあまりなくて。チェーン系のお店とか、本当に古くからやっている喫茶店くらいしかないと言われていたんですよ。そこにうちがオープンしたので、「せっかくだから、浜田山らしいお店で」という時に入りやすいと思っていただいているんじゃないかなと思います。
これは自宅でお茶を淹れる時もそうなんですけど、お子さんがいて、家事もあってとなると結構毎日大変ですよね。だけど紅茶を入れるとき、少し丁寧に入れると美味しい紅茶ができるんですよ。すごく高いものを買わなくても、ちょっと落ち着いた時間を過ごせる。ティータイムをそういう、ちょっといつもと違う、ゆとりのある時間として楽しんでもらいたいなっていう思いがあります。
■都会にありながらも、上品な静謐さを持つ街
かなりの高級マンションが新しく建つことが多いですね。そこに住んでいる方でうちに来ていただいている方もすごく多いです。
浜田山を散策している間、筆者が特に感じたのは街全体の落ち着き。渋谷から電車で20分程度とは思えないほどのしっとりした雰囲気はまさに高級住宅街です。
改札を出て南側は低層・中層のマンションや公園が広がっていますが、どこも綺麗に整備され、やはり品のある印象を受けます。
街の落ち着きの理由は再開発にあります。浜田山は古くから大地主の力が強く、大企業が所有していたグラウンド跡地などのまとまった土地も多い場所。そのため再開発の際に土地のゆとりが生まれ、景観などを意識された設計が行われました。また、高層の建物が建てられない区域に指定されているエリアも多く、空が広く感じることも、浜田山エリアの特徴と言えそうです。
■これからも暮らしやすく、落ち着いた街に
お店をオープン後、ご自身も浜田山へ引っ越し子育てもされているという和田さんに、住民として今後浜田山にこうなってほしいと望むことは何かありますか、と尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。
例えばスーパーひとつをとっても、成城石井があればSEIYUもあるし、KALDIもあって、その日の用途や生活スタイルに合ったところを選べます。車・電車どちらの交通の便もいいですし、最近飲食店も増えていて、特にこれが足りない、と思ったことはないですね。地主さんの影響が強い街なので、地主さんが変われば街も変わっていくとは思いますが、今の雰囲気を守っていってほしいと思います。
コンパクトな街でありながらも、必要なものは全て揃う。都会へのアクセスは便利なのに、落ち着いた雰囲気がある。まさに高級住宅街に求められる要素を全て満たす形で進化してきた浜田山は、これからもティータイムの似合う、マダムに愛されるノッティングヒルであり続けると確信しました。
<ベリーズティールーム>
住所:杉並区浜田山3丁目30-9-2階(※2018年移転)
tel:03-5930-9395
営業時間:11:00〜18:00
定休日:毎週火曜・水曜
ウェブサイト:https://www.berrystearoom.com/
■この街で暮らしたいと思ったら
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取材・文:笹川智香/撮影:笹川智香・cowcamo編集部/編集:THE EAST TIMES・cowcamo編集部