気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の違いを「街の先輩」に聞いてみました!「街の先輩に聞く!」、 第38弾は「表参道」です。
明治神宮に通じる参道として整備された大通り、表参道。冬至の朝にはケヤキ並木の中央に、まっすぐと朝日が差し込むパワースポットだそうですが、その瞬間を待たずとも、煌びやかな街の明かりを浴び、軽やかに進む人々の足取りと洗練された足元を見れば、この緩やかな坂道が、光とパワーに満ちていることは一目瞭然。
そして、このパワフルな大人の街の一角に、六本木ヒルズを望む、歴史ある公立小学校があることご存知でしたか? 今、この小学校に通う子ども達のパパ友コミュニティーが、盛り上がっていると聞きつけました。今回は、ちょっと趣向を変え、表参道で開かれるパパ達の飲み会にお邪魔します。
■ “意外にも” 暮らしやすい、大人の街
20時、大人の街では宵の口。ファッションブランドのパーティーと思わしき華やかな群れをかき分けて、着いたのは表参道ヒルズ。
その3階に新しくオープンしたレストラン「フラテリパラディソ(Fratelli Paradiso)」で迎えて下さったのは、港区立小学校に通う、小学3年生のお子さんを持つパパ3名ーーー
(ご紹介:お名前、表参道在住歴、ご職業、家族構成)
◉金澤卓さん
在住歴9年、外資系金融勤務、ファッション業界で働く奥様と双子の娘さんの4人家族
◉大山よしたかさん
在住歴3年、アートディレクター、専業主婦の奥様と息子さんの3人家族
◉垂水謙次さん
在住歴2年半、トランジットジェネラルオフィス取締役副社長/三越伊勢丹トランジット代表取締役社長、専業主婦の奥様と娘さんの3人家族
いつも、こういうところで飲んでるわけじゃないですよ。気取らない、焼き鳥屋も行くし、昼間から家族と楽しむことがほとんどです。でも、今夜はせっかくだから、遠慮しないで。いっぱい飲んでも、歩いて帰れるしね!
と、言いながら一杯目に “オーガニックの泡もの” を運ばせるのは、このお店の仕掛け人、垂水さん。グラスでキラキラと弾ける一杯で乾杯です。
「やはり、洗練されたライフスタイルを求めて、表参道に暮らすのでしょうか?」と聞くと、返ってきたのは意外にも、利便性の高さが決め手という答え。表参道は、飲食、金融、アパレル、マスコミなどさまざまな業種、業界にとって、それぞれに事欠かない立地条件を満たすのだそうです。
通勤、通学に便利な場所だと、家族との時間も多く持てますよね。
職住近接のメリットをこう話すのは、在住9年目の金澤さん。ファッション業界で働く奥様と、双子の姉妹を育てる上で、認可保育園への入りやすさや治安の良さもこの街の魅力だと話します。
ご覧の通り、ここは大人がスタイリッシュに楽しむ街なんだ。都会でもいわゆる風俗やパチンコは無いし、子供がたむろするような施設も無い。小学生に不適切な刺激を遮ることができるエリアだよね。
と語る垂水さんは、海外で人気の飲食店や空間を日本に上陸させ人気店を続出させている、トランジットジェネラルオフィスの副社長。パンケーキブームの火付け役ともなった「bills(ビルズ)」を手がけた際も、半永久的に景観が損なわれない場所を探したと裏話を聞かせてくれました。
結果的に、表参道は大人の街だけど、意外にも子どもにとっては安全で、教育環境が整った住みやすい場所だったんだよね。
と言う垂水さんの言葉に、一同は大きくうなづきます。
そして、男の子のパパの大山さんがニヤリ「何年かして、渋谷とか六本木に出て、ワルそな奴はだいたい友達になってたりして・・・」と節をつけ、女の子のパパ達の顔色が一変。
「さっ、次何飲もうか!」と、笑い声が上がるパパ友会は、まだまだ始まったばかり。
■トピックは “楽しい計画” と “珠玉の思い出”、みんなで楽しむプライスレスな休日
スキー、沖縄旅行など、その時々で無理なく集まっているという、表参道の同級生のパパ友コミュニティー。家庭や授業参観では知ることができない、のびのびと遊ぶ我が子の姿や、子ども達の個性も見ることができるのが嬉しいのだと、皆さん口を揃えます。
やっぱり、子どもは子ども同士で遊ぶのが一番楽しいんだよね。
と、ハイピッチで進む、遊びの計画と、呑むペース。こんな調子で大型連休は、一杯130円のビールを飲んで練った計画で、一泊2食付き8,000円の合宿所に泊まり、立ち寄った焼き物展で、勢いで15,000円のお面を競り落としたり・・・。
お金をかけなくても、みんなで行くと、やっぱり楽しいんだよね。
と、思い出は尽きません。
表参道在住のイメージを裏切らない “感度と予算高め” なお話が出てくるものの、パパ達が何より大事にしているのは “子供の喜ぶ顔が見たい”、”楽しいこと、面白いことを家族と共有したい” という想いだとわかります。
■遊びも仕事も本気。だからこそ、手に入れられる贅沢
とは言え、毎日、頑張っているんですよ。 楽しくできるように、仕事してます。
と語るのは、大山さん。大山さんは、表参道の自宅を購入する少し前に、大手広告代理店を辞め、現在はフリーのアートディレクターとして活躍中。
※大山さんのご自宅は、以前「リノベ暮らしの先輩に聞く!」にて取材させていただきました。
これ、息子へのプレゼントなんですけど・・・。
と言って見せてくださったのが、子どもに大人気の妖怪ウォッチのカード。なんとこれ、大山さんが息子さんをモチーフに制作したオリジナル。細部までこだわり、納得できる印刷所を見つけ出したところ、本物と同じ工場で印刷してもらえたそうです。
遊びも仕事も本気で生きていきたいですよね。
と、笑う大山さんの顔は、いつの間にか少年のよう。遊びであっても、本気で取り組む姿勢は、業界や専門が異なるパパ達の間でも通じあうところのようです。本日、何回目かのグラスを合わせる音が響きます。
■思いを叶える力を子供に
そんなパパ達は、子供達の「面白そう! 楽しそう! やってみたい!」という思いには、全力で応えます。例えば、習い事にしても興味があるものは一通り挑戦させるのだとか。
中には、パパの予想もつかない願いもあるようで・・・。
先日、双子ふたりが「チョコレートとマシュマロが乗ったピザ食べたーい!」と突然言い出して、困ったんですよ・・・。
と金澤さん。どうやら、垂水さんが社長を務めるマックスブレナーチョコレートバー(MAX BRENNER CHOCOLATE BAR)で垂水さんのお嬢さんの誕生日会が開かれた際に、チョコレートやマシュマロが乗ったピザを食べたことを、家でふと思い出したようです。
あ!うちも、チョコレートで出来たピザが美味しかったって言うので、Uber EATSで頼みましたよ!
と大山さん。
子ども達にとって、幸運な事はなんでも欲しいものが手に入ることではなく、「欲しい気持ち」にパパが懸命に耳を傾けてくれることなのかもしれない、と思うころには、宴もたけなわ。
■地元は表参道
僕は、スキーやサーフィンのできる自然のある田舎が落ち着くんですけどね。でも、子ども達にとっては、表参道が地元になるんですよね。
としみじみ言う金澤さん。週末を待って、冬は山、夏は海の近くの別荘へと向かうそうです。
表参道が地元の人々の生業は、金融系、コンサル系、クリエーター、経営者が主なところだとか。そして、この界隈の生粋の地元の人は、レトロな商店のお父ちゃんだったりするようで、古くから土地を持つご年配も意外と多いのが表参道の地元コミュニティー。
■2020年、表参道を原風景に成長する子供たち
表参道の代名詞、オープンテラスのカフェや、オリエンタルバザールは、実は戦後の名残り。空襲で焼け野原となった地は、アメリカ軍や貿易関係者の出入りによって、異文化に触れ変化を続けて、今の姿へと生まれ変わりました。表参道には、何度でも新しく生まれ変わる街のエネルギーがあるようです。
1964年五輪橋がかけられた原宿駅では、2020年に向けて駅改良計画が着実に進んでいる模様。その頃、恒例のバーベキュー大会は6回目を迎える頃でしょうか? 子ども達もまた大人に近づき、この街の生まれ変わりに一役買うコミュニティーを作る日も、そう遠くないかもしれません。
<フラテリパラディソ(Fratelli Paradiso)>
住所:渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ 本館3F
電話番号:03-3408-0800
営業時間:【月~土】11:00 ~ 23:00(22:00)、【日】11:00 ~ 22:30(21:30)
定休日:施設(表参道ヒルズ)に準ずる
ウェブサイト:http://fratelliparadiso.im-transit.co.jp/
>ご近所、神宮前・外苑前エリアの夜の様子もcheckしてみよう!
カウカモNIGHT!! -神宮外苑編-
取材・文:國井千穂/撮影:國井千穂・cowcamo編集部/編集:THE EAST TIMES・cowcamo編集部