『嗚呼、中古マンション……どうしてそんなに魅力的なの』マンション名を聞けば瞬時に場所や外観、管理体制まで思い出す編集長。不動産情報サイトの新着物件を日々チェックしている編集部メンバー。そんなふたりに中古マンションへの愛を語ってもらいました。


こんにちは、カウカモ編集部のshokoです。

カウカモでは毎週、数々の新着販売物件の中から『編集部ピックアップ物件(※)』を決め、取材をしています。それぞれが見つけた “コレはいい!” というものを出し合い、メンバーで話し合っているのですが、その際ついついマンションについて熱く語ってしまうメンバーがふたり……。

※ウェブサイトでは『編集部ピックアップ物件』のみをご紹介。アプリではそのほかにも多数お部屋を掲載しています。

ひとりは、カウカモ編集長のayakoさん

もうひとりは、新着物件を日々チェックしているgoさん

建物を擬人化したり、服を褒めるように意匠を紹介したり、ディティールや修繕履歴を事細かに覚えていたり。記憶力もさることながら、その中古マンションへの偏愛ぶりはマニアというか……オタクというか……。ふたりが “萌え” を語り始めると、ニッチな深夜ラジオのような空気が流れます(笑)。

そんな中古マンションLOVERなふたりに、今回3つのテーマを語ってもらいました! ふたりとも古くて味のあるものが好きなので、多少意見に偏りはありますが(笑)、ぜひ最後までお付き合いください。

■「ヴィンテージ」と称したいマンション
■「愛嬌がある」と萌えるマンション
■「いいお顔立ち」と伝えたいマンション

もちろんカウカモでは、築年数の若い建物やタワーマンションなども含め、さまざまな中古物件を掲載しています。その点に偏りはないので、ご安心くださいね!

さて、語り始める前に、まずはふたりのプロフィールを。

《プロフィール》伊勢谷 亜耶子(ayako)
幼少期より「住まい」に興味を持ち、大学では建築の分野を学ぶ。 デベロッパー、設計事務所を経て不動産業界歴は10年以上! 見てきた物件は数知れず。プライベートの街歩きやドライブ中でも、ひとたび知っているマンションが目に入ると、さまざまな情報を思い出すほど。気になるマンションを見つけたら、マップを開いて建物名をチェックする癖あり。

《プロフィール》長澤 豪(go)
約6年前の自宅購入とフルリノベーションをきっかけに、“一点もの” である中古不動産の魅力にハマっていく。購入時、リノベ業界の有名人(!)にパッションを込めて接客してもらったことも影響し、大手メーカーのデザイナーからリノベーション業界へ! 今は編集部で日々、新着物件をチェックする仕事も受け持っているが、全く飽きがこないのだそう。

そうそう、なぜこの企画が生まれたかというと、先日編集部メンバーで “マンションのお顔立ち” について話す機会がありまして。私たちが言う『お顔立ち』という言葉は見た目(外観)であり、規模感であり、マンションが放つ雰囲気。そういった印象をひっくるめて使っています。

その会議でのふたりの盛り上がりと言ったらもう……。聞いている私も面白かったので、この度記事にしようと思い立ったのです!

さて、前置きが長くなってしまいましたので、そろそろ本編に入りますね!

「ヴィンテージ」と称したいマンション

ayako

ヴィンテージといってまず思い浮かぶのは「広尾ガーデンヒルズ」だね。一歩敷地内に足を踏み入れるだけで、空気が一変する威厳が圧倒的。

1983~1986年にかけて建てられた「広尾ガーデンヒルズ」。『日本の高級マンションの有り方を変えたい』というコンセプトのもとに建てられたマンション。東京ドーム約1.4個分にもなる、約6.6ヘクタールの広大な敷地にはケヤキの並木道が続き、全部で15棟のマンションが建ち並ぶ。

go

ここはヴィンテージマンションの代表格って感じ。

ayako

敷地内にスーパーなどの買い物施設から銀行、レストラン、病院が揃っていて、もはやひとつの街だね!

go

建物単体じゃなく、敷地も含めてすべてにおいてヴィンテージという名がふさわしい。あれだけ広いのに維持管理も素晴らしいし。

ayako

開発にはスーパーゼネコンが何社も関わっていて、当時の叡智(えいち)を絞り出してつくられたんだと思う。本当にレジェンダリー。ほかに圧倒されたマンションといえば、「ペアシティルネッサンス」があるなぁ!

品川にある1980年に竣工した「ペアシティルネッサンス」。敷地面積約1万4700㎡、総戸数247戸という大型マンション。共用ロビーからは、美しい日本庭園を望むことができる。

ayako

ロビー一面、広いガラス越しに見える日本庭園は、結婚式場とか老舗ホテルのような雰囲気。広大な敷地を維持しながら、レッドカーペットや煌びやかな意匠も綺麗なまま。ただ、各住戸の中に巨大なマシンルーム(ボイラー室)があるのも、このマンションの特徴。それとはちょっと違うけど、“ヴィンテージマンションあるある” でいうと、セントラルヒーティング(※)を採用している建物が多いよね。

※セントラルヒーティングとは、空調や給湯を建物全体で集中管理する方式のひとつ。月々、設備基本料のかかるところがほとんど。

go

あー確かに! いくつかのマンションシリーズで思い当たるな。

ayako

かつて高級マンションとして分譲されたものに多いんだよね。いまはもう使ってないけど、昔からの名残で維持費がかかったり、漏水の原因になることもあるから、ヴィンテージと言われるマンションほどチェックするのがオススメ。

ヴィンテージマンションは「芸術作品」に住む感覚?

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「シャトー東洋南青山」の吹き抜けと、渡り廊下は芸術的だよね。立地も超いいし。

1971年竣工の「シャトー東洋南青山」。白くうねる回廊などデザイン性の高い共用部は、もはやそれ自体がアートのよう。

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築50年以上経ってるのに、かっこいいよなぁー!

ayako

わざわざこのデザインをマンションの中につくるってすごいよね。使い勝手が直接的に良くなるわけじゃないけど、それが豊かさだなーって。あと「川口アパートメント」は、日本のマンションの中でも特にストーリー性があると思う!

第一回直木賞受賞作家・川口松太郎氏が成した財で、息子・川口浩氏が建てた「川口アパートメント」。かつては敷地が約1,700坪もあり(現在では約930坪に縮小)、プールやレストラン、ビューティーサロンを有し、文化人の社交の場になっていたそう。

go

その建物の歴史を知ると、より価値を感じられるってあるよね。

ayako

かつて著名人の社交場になっていたマンションなんて、なかなかないよ! ちょっと外観は古さが目立つようになってきちゃったけど、共用ロビーに飾られた “家の美は心の美をつくる” っていう川口さんの書もいいんだよね。

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ちょっと特殊だけど、「ビラシリーズ」のマンションも好きだな。住宅というより、事務所として使っている方も多いんだけど。

白い館という意味の「ビラ・ビアンカ」は、1964年生まれ。シリーズの原点であり、竣工当時は海外でも話題になったそう。“外苑前エリア” の「ビラシリーズ」は【外苑前 × ビラ・フレスカ × 日野岡美帆】の記事で詳しくご紹介しています。

ayako

「ビラシリーズ」は住宅というより、もう建築として見ちゃうレベルだな。このマンションに住んでいること自体がステータスというか。もはや管理うんぬんじゃなくて、まさに作品って感じがする!

正しくエイジングケアできているか

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「代々木コーポラス」は古いんだけど、今でも外観とかエントランスが綺麗。しっかり管理していると、ここまで美しく維持できるんだなってのが伝わってくる。

1961年に竣工した「代々木コーポラス」。「代々木公園」の南西側という立地も魅力的。

ayako

このマンションは、日本初の分譲マンションだった「四谷コーポラス」と同じ信販コーポラスが分譲主で、鉄筋コンクリート造。“日本初” ってだけあって築年数が経過してるものが多くて、なんだか学校みたいな重厚感があるよね。ニチモプレハブが分譲した鉄骨造の別のコーポラスシリーズがあるっていうのもポイント。

go

そうだね、ちょっとレトロな要素もいい。「代々木コーポラス」の外観はタイル貼りとかじゃないけど、塗装部分も綺麗に保たれてるのがすごい。

永遠に廃れないデザイン

ayako

シリーズ系だと「ホーマットシリーズ」のことも語りたいな!

表参道に建つ、1988年竣工の「ホーマットヒルズ」。【表参道 × ホーマットヒルズ × 森勇貴】の記事でも詳しく紹介しています。

go

あ〜〜〜ホーマット!

ayako

規模感としては大きくないんだけど、“外国人向けに分譲された日本のマンション” っていうのが特徴的。なんとも表現しがたい、和と洋の融合がたまんないんだよね。

go

うんうん、植栽とかが丸く剪定されてて和な感じ。

ayako

マンションの銘板は金縁で可愛いし。郵便ポストが木製だったり、エントランスには灯篭とか松の木があったり、分譲時は専有部にふすまを使ってたり。米軍の将校とかも住むような家だったから、メイド室がある間取りの住戸も見たことあるな。

go

「ホーマットシリーズ」も、“ここに住むこと自体がステータス” 感があるなぁ。作品性のある「ビラシリーズ」とも似てる。

ayako

そうそう、自分自身のブランド価値を上げてくれるような。例えるなら、両方ともクラシックカーを所有する感覚に似てるかな。

go

あ〜確かに。スーパーカーも買えるけど、あえてクラシックカーに乗りたい的な。

ayako

うん、燃費とかじゃなくて、そのストーリーを買うようなね。

【ヴィンテージマンションの特徴】
・とびっきりいい立地
・感嘆する建築美
・威厳とストーリー性

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