気になるあの街はどんな街だろう。その街で活動するからこそ知り得る、街の変化の兆しや、行き交う人々の違いを「街の先輩」に聞いてみました! 「街の先輩に聞く!」、 第59弾は「五反田」です。


五反田は、駅前だけを見てもかなり雑多な印象を受けますが、その五反田で、IT企業が集まる「コワーキングスペース」と「スナック」が同居する「コワーキングスナック」ができ、人気を集めています。

そのコワーキングスナックの所在地は、山手線と池上線と目黒川に挟まれた三角形のエリアにあるリバーライトビル、通称 “五反田ヒルズ”。 そんな五反田ヒルズに入る「コワーキングスナックCONTENZ分室」のオーナーで品川経済新聞編集長でもある宮脇淳さんに、変化しつつある現在の五反田の姿を聞きました。

■五反田の雑多さと今を象徴する “五反田ヒルズ”

「コワーキングスナックCONTENZ分室」が入るリバーサイドビルは、3階から上がビジネスホテルで、地下1階から2階まではスナックを中心とした小さな店が軒を連ねる飲食店街になっています。

このビルが建つ前、この場所には「新開地」という小さな店が立ち並ぶ飲食店街があり、再開発に際してそこに出店していた店がそのままビル内に出店し飲食店街を形成したという歴史があるそうです。そのため、昔ながらのどこかいかがわしい雰囲気を持ち続けているのかもしれません。

リバーライトビル(通称 “五反田ヒルズ”)の様子。どこかいかがわしい雰囲気も・・・?

五反田に来たのは3年半くらい前で、高輪台から(このビルとは別の場所に)オフィスを移転してきました。このビルはスナックばかりで何か怖くて来ていなかったんですが、『食堂とだか』ができて、食べてみたらすごい美味しくて、通うようになったんです。そのお店は今は大人気で孤独のグルメにも出たり、1ヶ月先の予約も取れないんですよ。

お話を聞かせてくださった、「コワーキングスナックCONTENZ分室」のオーナーで品川経済新聞編集長でもある宮脇淳さん。

「食堂とだか」は2015年9月にリバーライトビル地下1階にオープン、宮脇さんも言うとおりの人気店で、2016年には目の前に2号店の「立呑み とだか」もオープンしました。この店が話題になり始めた頃から “五反田ヒルズ” の認知度も上がり、五反田は怪しげなスナック街から注目のエリアと言われるようになったようです。

山手線と池上線と目黒川に挟まれた三角形のエリアにある五反田ヒルズ。駅からは徒歩3分の便利な立地。

■スナックはコミュニケーションの場

高輪台から五反田にオフィスを移転してきた時は、1フロアをコワーキングスペースにしていたんですが、そこの人たちがガヤガヤできる場所がほしいと思っていました。不動産屋さんに聞いたら、たまたまこの場所が空いていて、ちょうど賃貸に出たタイミングで、それでここを『コワーキングスナック』として、借りることにしたんです。

しかし、「コワーキングスナック」とは一体何なのでしょうか。

コワーキングスペースの方は完全に会員制なので、この「コワーキングスナック」を分室にして誰でも入ってこられる場所にしようと考えました。「仕事場にもなり、コミュニケーションの場にもなる場所」=「コワーキングスナック」にしようということになったんです。

スナックなので “ママ” が要るということで、ライターになりたての女性をスカウトしてママにし、曜日ごとに違うチーママに来てもらうスタイルで始めたところ、常連さんもつき、意外と順調にスナックとして営業できているんだそう。宮脇さんは、店がうまく行ったのはこの場所だったからだろうとも言います。

五反田の賑わいはここ数年すごく上がってると思います。特にこのビルは、明らかに人が増えてます。それは『とだか』のような若い人がやるお店が増えてきて、雰囲気が変わってきているからで、30代40代の方が、このビルの中で3軒とか4軒とか飲み歩きをしていることもあります。

宮脇さんが仲間と冗談で呼んでいたのが正式な通称になってしまったというこの “五反田ヒルズ” はまさに今の五反田を象徴する場所のように思えます。

■IT企業が変えた五反田の「ヒト」の雰囲気

五反田の街のイメージと言えば繁華街のイメージ。何十年も前からやっているような飲食店も結構あります。しかし一方で、新しい店もどんどんできてきていて、古い五反田と新しい五反田がモザイク状に入り組んでいるようにみえるのです。そのように街の雰囲気が変わった理由のひとつがIT企業の増加だといいます。

古さと新しさとがモザイク状に入り組んでいる街並み。

3年くらい前からIT企業が増えてきました。渋谷の家賃が高すぎるからだと思うんです。いっときよりも上がりましたが、渋谷から山手線で3駅南の五反田は家賃が割安なんです。それでITのベンチャーとかが入ってきて、人は若返った感じがしますね。人の質が明らかに変わってきてます。

五反田の中心部は飲食店もオフィスビルも多く雑多な感じですが、中心部から少し離れると雰囲気がガラリと変わります。しかも方角によってその表情も様々。

■中心街とエリアごとに異なる表情を持つ住宅街

五反田のランドマークと言えば、ゆうぽーと(現在再開発中)とTOC(東京卸売りセンター)。この2つがある駅の南西側は、目黒川を渡ってすぐのところに気になる廃業した旅館 “海喜館” などもありますが、それは一旦忘れて山手通り方向へ行くと、ビジネスビルが林立するエリアになります。

そして、TOCを超えた辺りからは、戸越銀座や武蔵小山に通じる庶民的な住宅街に。

五反田のランドマーク、TOC(東京卸売りセンター)。生活に必要なものすべてが揃う一大ショッピングセンター。JR五反田駅からTOCビルへの無料シャトルバス「TOC EXPRESS」も走っていて便利。

駅の側、山手通りの支線通称 “ソニー通り” 沿いはオフィスビルとマンションが混在していますが、その北側は島津山と呼ばれる超高級住宅街エリア。大きな屋敷が立ち並び、東京都指定有形文化財の「旧島津公爵邸」を本館とした清泉女子大学があります。高級住宅街は北側の「池田山」エリアにも広がっています。

島津山の住宅街と清泉女子大学。近くには人気のハンバーガー店「フランクリンアベニュー」も。

駅の南東側、大崎方面に行くと目黒川沿いに高層マンションが立ち並び、川沿いには公園や広場もあり、親子連れの姿も多く見かけます。

南東側は、目黒川沿いのお散歩にもぴったり。ベーカリー「MAISON KAYSER(メゾン・カイザー)」やスーパーもあって、食材が揃う。

五反田は繁華街というイメージとは裏腹に、住みやすい街になっているのです。宮脇さんもそのことを実感しているといいます。

私も五反田に住んで5年弱なんですけど、人が増えた気はしています。山手線なのでどこでもすぐ行けますし、品川も羽田も近いので、出張で地方に出かける時にもありがたい立地ですね。

繁華街から離れて大崎方面とか不動前の方に行けば治安もいいですし、子育ての環境としてもいいと思います。

今回訪れた日はちょうど五反田ヒルズでお祭りが開催されていて、外では大雨の中、野外ステージで歌手の方が歌いその前のテントでおじさんたちが酒を飲み、ビルの中ではご年配の方々も親子連れもごちゃまぜになってお酒と食べ物を楽しみ大音量でカラオケをしていました。

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様々な飲食店が集中する街の中心部と、エリアによって様々な表情を見せる周辺の住宅街、いろいろな人がいて、みんなそれぞれに楽しんでいる、それが五反田なのだとその風景を見ながら感じました。

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コワーキングスナックCONTENTZ分室
住所:品川区西五反田1-9-3 ロイヤルオークホテル飲食街2F エレベータ横
電話番号:03-6431-9511
営業時間:月〜金 20:00〜24:00
定休日:土日祝
ウェブサイト:https://snack.contentz.jp/

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